キャラの心理を深く描き込んだ重厚で緻密な群像劇ファンタジー

最新55話まで拝読してのレビューです。

まず飛び込んでくるのが緻密に設計された舞台であり、硬質でしっかりとした文章と相まって重厚感を出しています。
海外ファンタジーを彷彿とさせ、テンポもゆっくりで、登場キャラの内面にしっかりと入り込んでいきます。

そう書いてしまうと、かなり読みにくいのでは?と思うでしょうが、そんなことはありません。
硬派な地の文のわりに会話文が意外に多く、それはやはりキャラの特徴を出すため比較的柔らかくなっています。この緩急が読みやすさを演出しています。

タグにあるとおり、昨今の流行り要素は全くありません。
宮廷闘争群像劇・心理描写重視・シリアス・転生転移なし・戦記・政治と並ぶため、ここだけ見て敬遠してしまう読者が多いかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。それではあまりに勿体なさすぎます。

本作の傾向上、読み手を選んでしまうところは仕方がありませんが、まずは1章の数話だけでも読んでみてください。
※3章最後に登場人物と用語集があるのでそれを参考にするとよいかもしれません。

メインとなるのは陰謀にはまって逃亡を余儀なくされたフェスタロ―ゼ姫17歳。彼女がどうやって国と地位を取り戻し、安寧を導いていくのか。

陰謀渦巻く群像劇ファンタジー、流行りものに食傷気味の方に是非とも触れてほしい作品です。

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