有為転変す 帝の台(みかどのうてな)

大国継ぎし 若き乙女は
欠陥品の 皇太子
魔力を持たぬ 憂の皇女が(うれいのみこが)
その運命に 抗わん


非常に練り込まれた、独自の世界観と様々な設定を、巧みな文章力で見事に表現している、とても重厚なファンタジー小説です。
登場人物の内面や、その人となりが丁寧に描かれており、数多くのキャラクターが登場するにも関わらず、各々が活き活きとこの世界で物語を紡いでくれます。

物語の展開としてはゆっくりですが、その分じっくりと深みを増していく世界に、引き込まれていくこと間違いなしです。

昨今流行りの転生転移もない、国家間の政治が絡んだシリアス重視の宮廷闘争群像劇……と言われると、少し読みづらいと感じてしまう方もいるかもしれませんが、そのテーマをもってしてここまで読みやすく、読者を惹きつけることができる本作品は非常に稀有な存在であると思います。

是非一度、一読していただきたい、名作です。

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