第7話 和解…?

雪が降ることもないこの季節。冬として不完全だが、不完全な関係であるサトシたちに言えることではない。














ミライ屋前の広場にサトシは来た。中央にはクリスマスツリーがある。彼は何やら袋を持っていた。

「………クリスマスツリー?………」

「………⁉︎」

クリスマスツリーは驚いた。そしてスターを起こした。

「何〜?………え」

「………やあ、久しぶり。あの、実は、ねぇ、その〜、これ」

サトシは袋を渡した。開けると中には飾りが。

「………公園のクリスマスツリーだから、勝手に飾り付けしちゃっていいのかわからないけど、とりあえず受け取って。そして……ごめん。君に責任押し付けちゃった」

サトシはこらえた。きっと短期なクリスマスツリーが怒鳴るだろうと思ったからだ。しかし、クリスマスツリーはそんなことなかった。

「……ありがとうな。俺も実はなぁ……これ」

「何これ?」

「冷凍パスタだ。麺類は細長いから良縁に繋がると聞いたことがあってな。スターに頼んで買ってきてもらった。あとチョコレート。恋愛ホルモンの分泌をうながすらしいからな」

「あ、ありがとう……。ねぇツリー?もう一度、ミカとくっつけるの、手伝ってくれない?」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

予想外の言葉に彼は思わず「はい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と言おうとしてしまったが、思いとどまった。

「(リア充爆破させるの辛いとか言ってたけど、リア充を生み出すのも嫌だな。どうしようか。……じゃあ、サトシに自分のせいでフラれたって思わせるように、できるだけ自然にフラれるルートを通らせればいいんだ!」

ツリーは笑い(悪い方の)ながら言った。

「いいぜ!!!!!!」

「!!!!!!ありがとう!!!!!!」

スターはわかっていた。絶対裏があると。

「じゃあどうすれば良い?」

「そうだな。……えっとじゃあ、まずミカを助けてみろ。手伝ってやったり、危機を救ってやったりな。そうやってる間に仲が縮まるさ。多分」

「OK!ありがとう!!!!!!」

サトシは広場を後にした。クリスマスツリーがニヤリと笑った。

「結局君はサトシくんとミカちゃんを引き裂きたいらしいね」

スターが呆れた。

「当たり前だろ!それに、ちょっとお前には手伝ってもらうぞ」

「何?」

スターをリボンで巻きつけるツリー。スターは何がなんだかわからなく、戸惑っている様子。

「⁉︎…僕をどうする気なのさ⁉︎」

「俺はここから動けない。だからお前を操って、遠出できるようにさせてもらうぞ」

「えぇ⁉︎それって洗脳じゃん!嫌だよ!女の子を洗脳するとかどうかしてる」

「だって俺だって遠出したい。大丈夫。悪い洗脳じゃなくて、お前の動きを操作させてもらうだけだから!!!!!!」

少々強引だが、これには訳があった。彼はスターを操作することによって、サトシの近くで指示を出せるようにできるわけだ。頭の回転が速いツリーにとって、その場で指示できるのは強い武器となる。

「ツリー。君のリア充への憎しみはわかったよ。でもさ、流石に洗脳はダメでしょ」

「すまないって。いつか何か奢るから」

「ちなみに僕を操作してどこへ行くつもり」

「サトシの学校。現場で指示を出すことによって、素早く破綻させることができる」

「なぁるほど……。まぁ……なんというか、僕の体を操作しているということは忘れないで?」

「おけ。まぁ心配すんな」

スターに巻き付いたリボンが完全に彼女を包んだ。そしてリボンを外すと、中から緑色のスターが出てきた。

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