第6話 後悔

サトシはあれからクリスマスツリーとスターに会ってない。完全に1人で抱え込むことになってしまったようだ。

そして、ミカからも若干距離を置かれている気がする。

「でさぁ……どう?ヤバくね?…」

「何それキモーいwwwww」

多分彼に対してではないが、悪口がひどく心臓に突き刺さる。

「おいお前大丈夫なのか?顔が青白いぞ」

「そうか?………そうかもな」

もうミカと話すことも、見ることすらも許されない。物思いの浸っていると、先生が来て授業が始まった。しかし、サトシは全く集中出来なかった。


…お互い気まずいのはわかっている。自分だけではない。失恋した人なんてこの世に星の数よりも多い。……星…………スター。


「…………謝ろうかな………スターに。んで、クリスマスツリーにも謝らなきゃな」

そうは思っても、短期なクリスマスツリーと、あんなに忠告していたスターだ。今更許してくれるとは思えない。

「サトシさーん?黒板に答え書いてくださーい?」

「え⁉︎ああはい」

彼はチョークを持つと、黒板の前に立った。

「(………………やり方が分からん!なんだこの数字と記号の迷路ラビリンスは…。分かんなくても、今更聞いていなかったとは言えない。それこそ自分が目立ってしまい、ミカを気まずくさせてしまう。なんとかしなきゃ)」

こんなことを考えてるなら問題に集中しろよ。何を考えても、結局辿り着くのはミカ。

「分からない?じゃあ席へ戻ってください。じゃあ……………大我くん!ここの問題の答え書いてくださーい」

情けないところを見せてしまったが、かといって活躍するわけにはいかない。いや、いっそのこと勉強に集中して忘れてしまおうか。クリスマスが終われば2人も消える。しかし………ミカはいつまで経っても消えない。ずっと同じ教室で過ごすことになる。小学校を卒業しても、中学校でまた会うことになるだろう。この近くには公立しかないのだから。

「はーい、皆さんこの問題解いてくださーい」

このまま一生こんなことを考えて生きるのか?成人しても、就職しても、定年しても、死ぬ間際までこんなことを考えてるのか?

「流石にいやだなそれは」

「え?問題解くの嫌なの?ダメですwwwwwwww、解いてくださいwww」

「え⁉︎いや、そういうわけでは………」

後ろからクスクスと笑い声が。笑われるのには慣れているが、今笑われると別のことを考えてしまう。

12月24日までまだ時間はある…………。ここでやらなきゃ、いつやる?諦めるわけにはいかない!恋はいつでもできるわけじゃない。それに、12月は非リアが焦る年。ミカもすぐ取られてしまうだろう。そんなこと想像したくなかった。

「(今日、またあの広場に行こう)」
























「お前はリア充の誕生を阻止できたんだから、いいじゃないか」

クリスマスツリーに飾られた飾りが、クリスマスツリーを励ます。彼も多少は責任を感じているらしい。

「いや、まあそうなんだが、なんというか、失恋させるのって、結構心が痛むものなんだな。リア充なんて爆発すればよかったのに。って思ってたけど、実際俺自身が爆発させると、なんか罪悪感がある。放火なんてしない方がいいんだろうな」

「………ねぇツリー?僕ら……サトシくんの運命を巡って戦ってたじゃん?なんか、人の人生で遊ぶのって、今考えるとバカバカしくない?」

「確かに…………そうだな。俺もなんで下着なんか勧めちゃったのか、分からなくなってきた。ああ、今更謝ってもダメかなぁ?誤りを謝るのもダメなのなぁ」

「ふざけてんのか真面目に話してんのか分かりにくいな」

「真面目だ!まあ、謝ろうとしても、ここから動けないんだけどな!!!!!!」

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