幻想大航海時代に『生きている者たち』を味わいたい方へ

中世後期――その当時を生きていた人々は、多様な信仰や伝説を現代人よりも信じていたと言われています。
題名でもある<セイレーンの涙>という人智を超えた秘宝を軸に、現実と幻想が混在していた、まさに『大航海時代の浪漫』そのものが本作では描かれています。
本作は史実世界ではなく、あくまで異世界ファンタジーですが……精美で読みやすいながらも『これでもか』と唸らせる当時の時代をモチーフにした描写(航海に於けるリアリティ、旧大陸と新大陸や私掠船の概念、特に個人的お薦めな当時の技術レベルを基にした海戦etc)。
ある理由から記憶をなくした少年の主人公ジャニをはじめ、海賊船長クック、船医のロン、ジャニの同僚パウロ(成長していくキャラ)、そして私の惜しキャラである古参の戦闘員で現在は船舶料理長のバジルなど魅力的な登場人物たちの交錯する人間ドラマ。

海賊、大航海時代、海の伝説などなど浪漫溢れる作品を読みたい方にぜひ一押しの小説です。

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