洋ゲー好きなら迷わず読もう。ぐいぐいと読み進められる中毒性あり

163話現在、小説は第二部に突入している。
更新速度がめちゃくちゃ早く、最新話に追いついて割と経つが個人的に今一番カクヨムの中で更新が楽しみな作品。作者様、本当にお疲れ様です。

ポストアポカリプスものでも、一部の地域は現実よりも科学技術レベルが高く繫栄している系の作品。
第一部はサイバーパンク2077のモチーフやオマージュを個人的ながら感じた。

主人公は『持たざる者』、虐げられし最下層のスラムで育ち非合法組織からの危険な使い捨て同然の依頼をこなし続けてそれでも生き延びてきた歴戦の戦士。

世界の大半が荒れ果てようと変わらず権力欲望渦巻く人類社会で、その不条理と仕組みを理解しながらも最底辺から成り上りたい――現実世界でも世界人口の約80%が「適正な生活水準」を下回っている。
文明崩壊後の本作ではそのヒエラルキーはよりダイレクトであり、この世の地獄から這い上がる為に己と誰かの血に染まり続ける主人公。

彼、レイにあるチップは何時だって彼自身の命のみである。

そうやって自分自身を賭け続け、ひとつひとつ状況を良くしようと積み上げてきた実績はたったひとつの、しかも依頼元の不手際が元で呆気なくご破算となる。
更には絶望的な逃亡劇に身を投じざるを得なくなり……というのが第一部の冒頭展開。

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打って変わって第二部は、旧文明の科学技術のスカベンジャー的存在である『テイカー』として相も変わらず死線に身を投じる主人公。


私自身がポスカリ物、SF、洋ゲー、洋画大好きだからというのは当然あるだろうが、本作『ロストテイカー』には”勢い”と言えばいいのだろうか? とにかく物語を追わせる魅力がふんだんに詰まっている。一難去ってまた一難の展開はまさに洋画の主人公のよう。

ハマる人は絶対ハマる魅力が確実にこの作品にはある。

本作はヌルくない。死がすぐそこにある世界で『足掻き生きる』主人公の生き様をこれからも追っていきたい。