最強とチートは似て非ざるものなり。主物質界に生きる者たちの一大群像劇!

主人公は数多ある世界のうち、中世ファンタジー的な世界である主物質界の調整者、或いは創造主の代行者か、その正体は明らかにされてはおりませんが、作中で私はそのように感じました。
(SF的な例えをすれば、三次元世界に対して四、五次元以降の高次元がその存在をやりすぎない程度に支える……映画「インターステラー」的な感じでしょうか)

彼には役割があるのでしょう。恐らく……「他世界の均衡を破るような世界に主物質界をしない調整」
これも明確には語られておりませんが私なりの推論です。

つまり主人公たるレスティーは「お前らの世界なんだからお前らでなんとかしろ。ただし明らかにバランスが崩れるヤバイ出来事に関しては俺が出張る。最低限だけね」というスタンス。

なんですが……だいぶ面倒見が良いですレスティーさん笑

色々と制約があるであろう超越者レスティーさんは作品の主役でありながら、「主物質界の主役は各人族だからな!!」と言いつつ、限定的な状況下では対魔霊鬼用の戦略級アイテムや魔法、技を授けてくれます。

とは言え、介入は最低限。
チート能力やら流行りに迎合した作品で山場も余りなく「この小説何したいの?何を表現したいの?」という作品に辟易した方には、原点的日本ファンタジーのこの作品にどっぷりと浸っていただければと思います。

**ここからは蛇足**

読んでいけば読む力もつきます。
安易な文体、表現ばかり読んでちゃ感性が先細る一方です。限られた分かり易い物ばかりしか楽しめないって、ちょっと虚しくないでしょうか? 偉そうに書いてしまいすいません。しかし、日本語の多彩な表現をせっかく日本人は堪能できる立場に身を置いているのです。

ぜひ、現代の読者には『ファンタジー小説』というジャンルを、更に間口を広げて楽しんでいただきたいものです。

そういう意味でも、この作品は非常におすすめです。作者様も丁寧に改行やルビ振りをしていて、読みやすくしてくれています。ぜひ、ご一読を! 

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