不条理を知る者は、不条理に埋もれた才人を助け、そして助けられる

真の勇気というものは、極端な臆病と無鉄砲との中間にある――ドン・キホーテより

しがない工場作業員として、それなりに人生を歩んできた主人公が運命の気紛れによって、見知らぬ世界の、恨みも何もないゴブリンの駆除員として生きることを強制させられるところから物語は始まります。

生きるために、倒す。ダイレクトな自然淘汰、ゴブリン駆除サバイバルを主人公はひたすら続けさせられることを余儀なくされます。


狩る者と狩られる者の慈悲なき悲哀。
不条理の中でそれでも『生存』を諦めず、生き残る術を模索し続ける主人公。

そして……社会から不条理に爪弾きにされてしまった者たちへと『施し』ではなく『共闘の選択』を与え、利益関係を築いていく過程が結果的に自身と他者の『人生の再出発』となっていく流れは、決して安易で都合の良い物語ではないと個人として思いました。

上述した、現実に通じる様々なテーマを内包し、簡潔ながらも登場人物の会話にしっかりとした『意図』が表現され、リアリティのある人間臭さが垣間見られるところが私としては非常に読み応えのある作品だと感じました。


最も驚嘆すべきは……まるで物語の主人公をなぞらえるかのようなサバイバビリティー溢れる作者様の圧倒的更新ペースです。


……もしかしたら作者様も、ダメ女神から毎日連載の試練を与えられているのでは……?

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