ダークファンタジーと一言で言っても、今時のライトノベルと勘違いしてはいけません。
いわば、図書館で読むような純文学寄りの小説です。
だからといって、難読な近現代文学に近いわけでもありません。
ルビはしっかり振ってあって、専門用語の説明も丁寧です。
なんと言ってもこの物語は、読んでほしい! 伝わってほしい! という文章で読者を魅了させます。
序盤でちょっと自分には難しいかな? と思っても、すぐにブラウザバックするのはもったいないです。
後から後から、物語の真実を知っていく度にこの小説はすごい! と感じるようになるでしょう。
ファンタジーがお好きな方には、ぜひ序章の最後までご一読いただきたい作品です。
この物語は最後まで読んで欲しいとしか言えない。
何を言っても核心に繋がりそうだからだ。だからこそ、まずは読んでみて欲しい。
物語に没入することが出来る高い文章力と、濃密な世界観を楽しむことが出来る。
主人公だけではなく、村の一人一人にもまた、物語がある。人生がある。善悪と簡単に断言することが出来ない人間の物語を本当に丁寧に描いている。
一人一人の物語を見つめながら、世界の姿が徐々に明らかになっていく様子には息を呑んでしまう。
この物語は序章。始まりの物語だ。腰を据えて読む物語ではあるが、是非、最後まで読んでみて欲しい。
主人公だけではない一人一人の人生を見つめることが出来る物語です。
冒頭を少し読んだ感想は「東洋風で民俗学的な因習とか最高」ってことでした。
和風で妖しい神様に参拝している雰囲気とか大好物なんで読み始めたのですが、そんなものじゃなかったです。
先に書いておきますと、ラノベではありません。
昭和の直木賞受賞作家が書いた本、といった感じで、読んでいると図書館から借りた古い本の匂いがよみがえってくる。
気味の悪い風習、閉ざされた村、少しずつ明らかになる奇怪な世界観、渦巻く陰謀――そうしたものにどんどん引き込まれていきます。
残業後の疲れた頭で気楽に読めるとは思えないので、昔ながらの「小説」をちゃんと読みたい方におすすめです。
そういう方々はそもそもカクヨムに来ないで、図書館か書店に行っているんだろうな、とは薄々思っています。
でも「骨のあるやつを読ませろ!」という気概のある方は、ぜひ読んでみてください。
誰にでも気軽におすすめするつもりはありませんが、読書好きな人に本気で勧めたいです。
なお、物語の舞台は古代か中世かといったところですが、登場人物たちに織り込まれているものは現代の諸問題であることが、読み進めるうちに分かると思います。
ある種の人々にとっては救いになる作品です……。
※21話(「2 密事」の最終話)まで読み終わった感想です。
(レビュータイトル先頭の◎は、どれがお気に入りだか分かりやすいように付けている自分用メモです。特にハマっている作品に付けています)
最新話まで読了して思うのは、これぞ読書である、ということだ。文章から内容から読み応えがあり、頭をフル回転させ、そうして読み解いていく。個人的にはそれが楽しくてたまらない、読書の醍醐味でもあると思う。
隙間の時間にサッと読む、というものではなく、これは腰を据えていざ読むぞとかかる作品ではないだろうか。
そしてそうして向き合った時、この作品は必ずそれに応えてくれる。
冬の寒い日、静かな室内にてじっくり読む。そんな読書にいかがでしょうか。
この物語の世界は奥が深い。隔絶された世界、祀られるもの、不思議な習俗、これを異世界やファンタジーという言葉では片付けられないようにも思う。
ぜひご一読ください。
まず告白します。自分にとってこの作品は「読み易い」と言える物ではありませんでした。
擬古文的、つまり古い文体を模倣して語られる物語を読み進めるのは、普段から平易な文体に慣れ親しんだ身としてはかなり歯応えが強い。恐らくラノベを求める多くの方がそう感じるのでは無いかと思います。
しかしそれを乗り越えて内容自体に目を向けると、古代日本のような何処かの世界で展開する濃密なドラマに心を囚われる。
いや。凄いんですってマジで(笑)
周囲から隔絶された村と、五百年続く地域信仰。朝廷簒奪と弑逆された帝の側室と遺児。不老不死の月人。
古代ロマンとファンタジーの要素がこれでもかと詰まっている。
過酷な宿命を背負った登場人物たちの宿命がマジで過酷。言い間違いではありません。過酷な宿命などと多用されて陳腐になった表現が、本来の意味を取り戻す。それほどに過酷。
感情移入して涙が出た箇所もありました。
これらの要素が平易な文体で描かれていれば、ともすると筋書きを追うだけの読書になってしまいまうかも知れない。しかし先に上げた擬古文的な文章がそれを許してくれません。
流し読みで読んだつもりになる事を許さず、噛み締めながら物語に付き合う事を求められます。
内容だけを追う読書ではなく、文章そのものが持つ美しさをも堪能する。本当の意味での読書を体験できるでしょう。それが作者の狙いだろうと思います。
まさに読書の口中調味やで(笑)
一見難解な文章であるにも関わらず、古い言葉で表現しても理解を阻害すると思われる箇所は、現代的な言葉に置き換えられている。
古代日本などの予備知識を一切必要としない世界観が設定されていて、身一つでこの世界を楽しむ事ができる。
「ここは大事な所ですよ」という部分は繰り返し教えてくれる。
こんな親切なラノベ見たことがありません(笑)
若い頃は小難しい本に挑み、それを読破した自分が少し賢くなった気分になったものです。
ここに居られる方々にも、我こそは読書家なりと自認される方はいるでしょう。
この料理。是非とも御賞味下さい。
このレビューを読んでもらえるかが既に不安ですが、これが本心です。
珠邑先生ゴメンナサイ(笑)
ジャンルとして架空世界の伝記もの、とでもいうのでしょうか。
一つの邑(むら)から話がはじまり、登場人物たちの生い立ちや邑の背景など話が展開していきます。
とにかく設定が深いのですが、情報量過多で読みづらくなるようなこともなく物語を読み進めるに従って自然と入ってきます。
世界観がとてもよくて、気づけば一気に読んでました。
ライトノベルではなくて読み応えのある小説だと感じました。
内容は濃いのですが、レビュアーの私は読みやすい文章だったのでそこも良かったです。
異世界、とかファンタジー、とかっていう言葉で表現したくない作品です。
作者さんの描かれている世界の中にドップリと浸かって読んでみることをオススメします。