吸血ははBARにいる

 吸血鬼が出てくる小説ですが、ホラー要素はありません。

 バー「Raining(レイニング)」には、たまに吸血鬼のお客様がいらっしゃいます。
 彼らはこのバーで提供されるあるカクテルを飲みにやってくるのです。


 現代日本に吸血鬼が生息しているというお話。
 彼らは人知れず人間社会に暮らし、生活しています。そしてこの物語は、そんな吸血鬼が通うバーと、彼らに絡む人間たちのお話。

 それぞれのエピソードで、吸血鬼や人間たちにスポットが当てられ、それぞれの恋や生活、結婚の問題なんかが語られます。

 吸血鬼と吸血鬼の話だったり、吸血鬼と人のカップルの話だったり。いずれにしろ、激しい話はありません。


 夜、日が暮れてから開き、深夜に閉まるバーを舞台に、まるでカウンターの上でグラスを傾けるように、静かに、ゆっくりと流れる時間を楽しむ群像劇。

 大事件は起きないんですけれど、この、バーにいるような落ち着いた雰囲気が毎回つづき、不思議とその世界にハマります。

 なんとなく、その気はなくとも、ついつい毎晩立ち寄ってしまう。そんな小説です。


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