悪を食らわば業まで。悪食を背負う主人公たちの葛藤がエモすぎる。

とっっっっっっても面白かった!!
ぜひ書籍化なり映像化なりしてほしい。早い者勝ちですよ!?

本作はまず世界観設定が非常に巧みです。

悪食という怪異が存在する現代日本。
悪食は使役する人の命で「悪」を食らい、食われた人の存在や記憶を世の中から消し去ってしまう。
しかし中には稀に消された人のことを覚えている人間がおり、悪食を使役する人々からすると非常に都合が悪い存在。
ゆえに悪食を使役する側に引き入れられるか、悪食によって処分されるかの二択を迫られる……。
ただし、悪食を使役するのはメリットばかりではなく、悪食に食われた人と同じように周囲から忘れられやすくなり、社会から孤立していく。

もう、この葛藤が生まれるしかない設定が素晴らしすぎます。
自分がこの世界の人間だったらどう立ち回っていくのだろうと考えさせられてしまう。

そんな中、裏社会的に生きる男と、公権力の極秘機関の中で生きる男、二人が些細なことをきっかけに出逢います。
そこから生じた歪みが社会の綻びを広げ、やがて誰にも知られることのない大きな戦いへと発展していく。
ハードボイルドな雰囲気漂う文体で描かれる、手に汗握るクライマックスは必見ですよ。

最後に。
きっと作者様もリスペクトされていると思うので遠慮なく言わせてもらいますが、仮面ライダーBLACK SUNが好きな人は絶対ハマると思います笑
特に最後のあたりはニヤリとすること間違いなし。

個人的には灯耶の過去エピソードもお待ちしています!!

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