闇夜の黒、鮮血の赫––狩人と吸血鬼が織り成す本格派ダークファンタジー

舞台は少し未来の日本、日常の影に潜む吸血鬼、そしてそれを狩る『吸血鬼殺し』がいる世界。物語の主人公は高校生、九竜朱仁。過去に父親を目の前で亡くし心に傷を負い、他者との距離を取って生きる何処か影のある少年。
吸血鬼に襲われた所を『吸血鬼殺し』の美女、弦巻葵に助けられ、九竜朱仁は彼女の誘いと共に己自身も『吸血鬼殺し』の存在となる。

吸血鬼と繰り広げる熱い死闘の戦闘描写、劇中のクールな台詞回し、キャラクターが持つ個性的な魅力、そしてハードボイルドな生き様。カッコいいの全てがここに詰まっている。

しかし、吸血鬼といえども人の姿……その命を奪うことに対する葛藤や懊悩、後悔もある。等身大の高校生の少年の心を描きながら、それでも前に進んでいく様は主人公として完成された理想像といえるだろう。

『吸血鬼殺し』サイドと『吸血鬼』サイドのキャラクター造形が何よりも魅力的で、どちらも消えてほしくないと思わざるを得ない。それほどまでに魅力あるキャラ作りが成されている。

心湧き立つシビアな戦闘、その中で繰り広げられるクールな台詞の交わし合い、生きるか死ぬか生存を賭けたシリアスな世界観、珠玉の現代ダークファンタジーが此処に有る!

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