対吸血鬼戦線異状なし。戦死も、拷問も、無能上官による全滅もただの日常。

現代社会の裏を暗躍し、人を食らう吸血鬼たち。
そんな人類の天敵たる吸血鬼を狩る者になってしまった少年が主人公です。

それだけ説明すると、鬼を滅する刃的な少年漫画なノリなのかな、と思われるかもしれませんが、この作品はそうじゃないんですね。

これは、戦争小説、です。

私は読みながら、『プラトーン』や『西部戦線異状なし』といった戦争映画を彷彿としちゃいました。

悪者と戦うヒーローの物語ではありません。
吸血鬼と人類の戦いという、理不尽な世界に参加することになってしまった、普通の少年のお話です。

彼の所属する吸血鬼狩りの組織も、正義の組織ではありません。
社会のありとあらゆるしがらみに穢された、利権と私利私欲にまみれた腐敗組織です。

パワハラ、モラハラあたりまえ、何それ美味しいの状態。
吸血鬼と戦わねばならないはずなのに、内部の権力争いばかりに注力して、幹部同士が互いの足をひっぱりあってるような始末です。

そんな上官たちの指揮下で戦う兵士たる主人公は言うまでもなく、悲惨そのもの。
幹部の権力闘争のとばっちりで、わざと失敗させるための任務を宛がわれることも日常、そんな勝てるはずのない戦闘で死ぬのは現場の兵士たちなわけで。

理 不 尽 ここに極まれり。

そんな戦場に身を置いてるうちに、普通の少年が、どのように変化していってしまうのか?

そこが見所の作品です。



こんな方にオススメ


:王道少年漫画な設定なのに、物語はガチ戦争物なストーリーが読みたい人

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