御前ではなくなった「静」。その生きかたの美しき稀


戦乱に腐る田畑や削り取られる人たちが何とか生きのびる土の上を
男たちに翻弄され汚されるように見える雉女。

その時代のさまざまな女性の生き方とそこから形成される性質、生きる方法、信じるものの差、どの女性も賢明で真摯で間違ってはいない。
だけれど、哀しさやすこしだけ狂気のような触れては怖い場所がある。

慣れない環境に人々の業に翻弄されながら、時を人を重ねるごとにいつしか仲間たちにたよられる存在となる
雉女、そのひとのほんとうの名は

「静」

義経に愛されたというだけではなく、最後は自分の足でしっかり立ったその人は
やはり
とても美しかったのです。

大人にこそ響く歴史小説ではないでしょうか。

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