凄腕の機械屋、その実力を認めたのは魔王。そして、忌み嫌ったのは……同族

 この物語の舞台は、機械と魔法が程よく混在する世界。
 この世界の機械は魔法にはやや劣るものの、その手軽さからの需要が高く、魔法使いでなくとも使える便利さから、庶民の人気も高かった。

 機械屋の集う、世界の技術の中枢を担う街に、ある日、魔王の使いがやってきた。

『この街で一番腕の良い機械屋を寄越せ』

 その要求に、街の住人たちが結託し、ひとりの機械屋を人身御供として差しだした……。
 その機械屋は、若くして工房を持つほどの凄腕ではあったが、あまりにも偏屈だったために、同族に裏切られたのだった。そして、魔王城へ連れ去られる。

 人間嫌いの魔族たちに囲まれながらも、魔王の依頼をこなしていく主人公に対して、魔族たちの感情に変化が現れ始める……。

 そもそも、魔王は何故、機械屋を欲したのか? この世界の人間は、どうして、こうも簡単に同族を切り捨てられるのか? 物語が進むにつれ、こころ優しき魔王と、そうではない人間たちとの違いが見えてくる。
 そこが、物語として、とてもおもしろい。

 あなたは、どちらの側に肩入れするのでしょうか……?

その他のおすすめレビュー

浅葱 ひなさんの他のおすすめレビュー341