凍てつくような緊張感の中、この短い文字数の中に生と死の必然と葛藤が詰め込まれている。絶望。怒り。気づき。後悔。そして、最後に残るのは、真白。真夏の凍徹を噛み締めてみてはいかがでしょうか。
熊の引き起こした事件といえば、いくつか思い浮かぶものがある(悲惨かつグロいので苦手な人は決して調べないで欲しい)。熊への復讐を誓った少女の決意は、正しいのか、それとも。真っ白な中で吐き出される息。引かれる引き金。その臨場感の中から一転、主人公の心に去来するものがある。自然との共存を叫ぶことは簡単だ。けれど実際に人間に害をなした野生動物を野放しにしておくことは、果たして正しいのか。駆除することは、果たして正しいのか。どちらにせよ、自然というものは残酷である。そして人間も、その残酷な自然の中のひとつなのである。ぜひご一読ください。
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