六話 二日目

六話 二日目

今日は朝から検査が始まった。

ヴィヴィアンにかけられた呪いが身体にどの様な影響を及ぼしているのかを、ウェスティン治療院が誇る最先端の魔道医療機器と院長を筆頭に院の医師と医学院の教授達の治療チームが検査が昼まで続いた。


検査が終わるとヴィヴィアンは聖水で身体を浄めて治療院に併設されている教会の礼拝堂へとシスターに連れられて行った。


中へ案内されると、礼拝に来た信者が座る長椅子が片付けられていた。中央には人一人横になれる程の白い台がが置いてある。そして、台を中心に礼拝堂の床全体に魔法陣が書かれている。


台の前には創造神アテリウスを崇めるアテリウス教の教皇と枢機卿二人がヴィヴィアンを待っていた。


「お待ちしておりましたウェスティン嬢。私、教皇テレシウス二世とフランシス枢機卿、ザマティウス枢機卿で呪いの解析と解呪ちさせて頂きます」


白い生地に金糸と銀糸で聖花である白百合の刺繍が施された祭服を纏い、大きな丸い水晶玉が着いた杖を持った立派な白い顎髭の80歳は過ぎているであろう教皇が真ん中に立ち、白い祭服を纏い同じ杖を持った40代位の二人の枢機卿が優しい笑顔でヴィヴィアンを迎えた。


「テレシウス教皇様、フランシス枢機卿様、ザマティウス枢機卿様、この度はわたくしの為に帝国からお越し頂きありがとうございます。

わたくしも解呪を試みたのですが、力不足で一割も解呪出来ずに、教皇様達のお力をお借りしたいとのお願いを聞いて下さり心より感謝致します」


「次期筆頭聖女であり、膨大な魔力と聖力を兼ね備えた神に愛されしウェスティン嬢の為ですぞ!わしらが力をお貸ししなければアテリウス様のお怒りを受けるであろう!」


「その通りですぞ!私、フランシスが力の限り呪いを消してみせましょう!」


「まったくルミタス国王を何を考えているのだが!我等のアイドルヴィヴィアン・ウェスティン様に呪いをかけるなど!神罰を受けるがいい!」


わたくしは気にしておりませんわ、これも神から与えられし試練でしょう」


「…ウェスティン嬢、少し前からルミタス国内で不穏な気配があります。わしらアテリウス教会とジルバニア帝国は全総力をかけて調べており、この呪いの術師も関係があるとみております。後程ウェスティン嬢にお話をお伺いしたいのだが、よろしいかね?」


「不穏な気配ですが……、確かにわたくしも感じました。わたくしでお力になれるのならば、いくらでも協力いたしますわ」


「ありがとうございます。さあ、こちらに」


教皇は手を差し出しでヴィヴィアンを白い台に案内して座らすと、うつ伏せで寝かせた。手で目を覆い詠唱を始めると、枢機卿達も教皇に続き詠唱を始めながら小瓶に入った聖水をヴィヴィアンの身体に振りかけていく。


教皇は詠唱ををしながら杖の先端の水晶をヴィヴィアンの額に当て、フランシスは腹部に水晶を当て、ザマティウスは揃えた両足の親指の先に水晶を当てた。


水晶が金色に光と床に描かれた魔法陣が金色に光出し、礼拝堂の中が光で満ちていく。


すると、ヴィヴィアンの身体から黒い煙が噴き出した瞬間に「バチン‼︎」と、大きな音と共に礼拝堂は黒い煙で溢れていった。

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