二話 一日目
その日の朝は、鳥の囀る声ではなく女の叫び声がヴィヴィアンの部屋に響き渡った。
毎朝メイドのアリサはヴィヴィアンの部屋のカーテンを開けて朝日の光を部屋に満たし朝を告げる。その眩い光でヴィヴィアンは目を覚ますのだ。
「おはようございます、お嬢様」
「お、おはよう、アリサ」
この時にメイドのアリサはヴィヴィアンの顔色や表情を見ながら健康状態を確認していく。
朝日に煌めくサラサラの銀髪がヴィヴィアンの雪の様に白い肌をより引き立てていて、天使のように美しいお嬢様を毎朝拝めるなんて役得だ!と、いつも思っていたが、今日は違った。
ベッドには土気色したザラザラの肌に、コブの様に腫れ上がった瞼からは瞳が見えず、垂れ下がった頬に潰れた鼻の下にはぐにゃりと歪んだ唇。常世の闇の様な黒く長い髪の毛はボサボサに広がっていた。
アリサはその醜さに恐怖し足が震えて立っていられなくなり、悲鳴を上げなら床に膝から崩れ落ちた。
「ば…、ばけ、ばけ……、もの……」
「……アリサ、どうしたの?」
「だ、誰が!!お嬢様の部屋に化物が!!」
「……化物?」
恐怖で真っ青な顔をしなが震えているアリサを見ながらヴィヴィアンは「化物」の意味を考えていた。
ーアリサは
ヴィヴィアンはベッドから降りると鏡を見るために鏡台に向かった。その間にアリサの叫び声を聞いて屋敷中の人間が部屋に駆けつけて来た。
やってきたメイドと従者達は「ひぃ!」と小さな悲鳴をあけたり「化物だ!」と騒ぎはじめた。
鏡台に座り自分の姿を見つめながらヴィヴィアンは「確かに、化物ね」と、呟いた。
そして、父ウィリアムが部屋に入って来るとヴィヴィアンを見るなり顔から血の気が引き真っ青になっていった。
「ヴィヴィアン……、まさが……」
「お、父様、これは殿下、が、仰っていた、呪い、ですわ」
ヴィヴィアは綺麗な形をしていた唇が歪んでしたまった影響で上手く話せなくなっていた。
ーこれは話しずらいわね。まずはこの唇に慣れて上手く話せるようにしないといけませんねー
「そんな!それではヴィアは……」
「え、えさ、苦しみ、ながら、十日後、に、四肢が、バラバラ、になり、死ぬの、でしょうね」
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