概要
俺が殺して切り落とした首に金魚鉢がくっついた兄と過ごす夏
兄の頭に手を突っ込んで、死んだ金魚を掬い出した。
夏、田舎の実家で俺は兄を殺した。浴槽で首を切り落として血を流している最中、近くに置いていた金魚鉢が兄の頭にくっついて身を起こした。
冷蔵庫に首をしまい、昔は兄が俺の髪を切った庭で金魚鉢を洗い、昔兄と無言で通ったシャッター街の熱帯魚屋で金魚を買い足し、昔兄と帰った夕暮れの土手を歩く。
何故兄が金魚を飼うのか、何故俺が殺したのか、お互いに聞かないまま。
第五回こむら川朗読小説大賞にもう一作参加したくて書きました。ギリギリで間に合った。
BLと思って書きましたが違うかもしれない。夏の終わりと、異形頭と、気が滅入る田舎と、金魚と、仲の良くない兄弟と、口も喉もない生き物がえづいているところを書くのが好きです。
夏、田舎の実家で俺は兄を殺した。浴槽で首を切り落として血を流している最中、近くに置いていた金魚鉢が兄の頭にくっついて身を起こした。
冷蔵庫に首をしまい、昔は兄が俺の髪を切った庭で金魚鉢を洗い、昔兄と無言で通ったシャッター街の熱帯魚屋で金魚を買い足し、昔兄と帰った夕暮れの土手を歩く。
何故兄が金魚を飼うのか、何故俺が殺したのか、お互いに聞かないまま。
第五回こむら川朗読小説大賞にもう一作参加したくて書きました。ギリギリで間に合った。
BLと思って書きましたが違うかもしれない。夏の終わりと、異形頭と、気が滅入る田舎と、金魚と、仲の良くない兄弟と、口も喉もない生き物がえづいているところを書くのが好きです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!微妙な関係の兄弟
首を落としたはずの兄が、金魚鉢を首がわりにして起き上がってきたお話。
あまり仲がよくない、というか最終的に殺害に至るほどの関係であった、とある兄と弟の物語です。
起こっている出来事は非常に非現実的なはずなのに、びっくりするくらいファンタジー感がないのがとても好き。
頭が金魚鉢になる、という一点を除いて、描かれているのはあくまで現実的な普通の田舎の光景。
あるいは、金魚鉢もなんらかの比喩や幻覚ではないかと思わされてしまうほどの、重厚で堅実な読み口が魅力です。
いわゆる「異形頭」というものだと思うのですけれど、独特なのはその生っぽさというか血肉の感覚。
頭を落としたところにく…続きを読む