主人公、未だ『最強』ならず。されど、最強でなくてもかっこいいんだよ!!

※25話現在のレビューとなります※

趣味・嗜好・好き嫌い。
それら、人それぞれおありのことと思いますが、もし「かっこいい」主人公がお好きなら、どうか少しだけ貴重なお時間を割いて、本作に触れてみていただけたら、と思います。何卒。
なにせ、レビュー本文として推奨される「良かった点」――本作においては、まさしくそこに尽きるのです。いや、かっこいいんですよ主人公。

主人公・出雲桃太は未だ「最強」ではありません。タグにそうついてるんだからいずれ最強になるんだと思いますが、今のところはまばゆい才能の萌芽こそあれ、強大な異能たるの"鬼の力”を持てなかった外れ者、強大な敵の前には力弱い劣等生でしかありません。
それでも。異能に選ばれずとも積み重ねてきた鍛錬と、恐らくは天性の勘の良さ、思い切りの良さで、強大な"鬼の力”を振るう敵の猛威を搔い潜り渡り合う彼の姿を、私は心から「かっこいい」と思ったのです。
そのシーンをまざまざと鮮やかに脳裏へ想い描き、その鮮やかさに痺れてしまったのです。


彼は未だ最強ならずとも、強大な敵を前にしてなお輝きつづける主人公でした。
なら、いずれ彼が最強となったなら?

そんなもん、かっこよくない訳がないよなぁ!!!??

そのかっこよさを成さしめる確かな筆致で、この物語は紡がれています。
描写が厚いとか巧みというのとは少し矛先が異なり、読みやすさを損なわないところまで描写を「削り出して」いる巧さではないか、などと感じていますが、どうでしょうか。

そして、文字通りの『鬼』と化した悪鬼どもを、時には鮮やかなまでの一瞬で、また時には苛烈な凌ぎ合いの末に下してゆくであろういつかの未来を、この「おとぎばなし」が見せてくれるのを期待しつつ――この先の展開を待っている次第の私です。

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