それは雨の朝のこと――。制御の効いた文章が、却って感情を揺り動かす。

激しい雨が降る朝、主人公の幼馴染みは御上に嫁いでいく――。制御の効いた文章は、主人公とその幼馴染みの娘の心情を多くは語りません。ですが、丁寧な情景描写から滲み出るふたりの心情を思うほどに、深く胸に染み入る掌編です。読み手の想像力をどこまでもかきたて、より余韻を引き立てる文の静けさと、降りしきる雨の激しさの対比が美しい作品です。

その他のおすすめレビュー

つるよしのさんの他のおすすめレビュー149