第十二章  終章

トンネルを抜けても窓の外は暗く、山下の寂しそうな横顔を映していた。


自分の暗い表情に口元を綻ばせた若者は、今まで抱いていた温もりを思い出している。

柔らかな天使の感触を何度も反芻させながら、里美の可愛い顔を思い浮かべていた。


ポケットから取り出した携帯電話を見た。

羅列したメールの一つを開くと、何度も読み返すのだった。


たった、一行なのに。


若者は運が悪ければ、橋本という親友がいなければ、二度と会うことができなかった天使からのメールをしみじみ眺めるであった。


携帯画面に浮かぶ一行のフレーズ。

そこにはこう、しるされていた。


「私も、あなたが好きです」



「ライバル」(フォロー・ミー:スピンオフ)―完―

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