勇者のための世界

　水守灯也（みずもりとうや）は十五歳の高校一年生でソロプレイヤー、要するにぼっち。そして現実世界のことを「つまらなくて退屈」だと感じている。そんな彼は自分の高校一年の夏休みをメモリアルなものにしようと考えていた。
　終業式の日の帰り道、灯也は謎の男に出会う。そしてその男に「ソロプレイヤーを極めた者はクリエイターになる」と言われた灯也は、その言葉に触発され、ダークファンタジーＲＰＧを作ろうと決意する。
　制作初日、最初のダンジョンである古代神殿を作った灯也はベッドにもぐりこむが、次に目を開けたとき、その神殿の玉座に座っている自分を発見する。夢の中でゲームの中に入り込めたことを喜ぶ灯也だったが、そこに自分の作った覚えのないキャラ『勇者ミオ』があらわれて――。