私は貴様のどんな辱めにも、決して屈しないぞ！

　その世界の二つの国は、戦争状態にあった。

　小国である一方の国が、大国に無謀にも戦いを挑んだのである。小国は大国に勝てる見込みはまったくなかった。

　だが、意外にも小国は当初目覚しい戦果をあげた。

　おそらく驚いたのは大国だろう。

　小国の隣国である大国は、小国のことなど、隣にただ存在しているだけの小さな存在としか思っていなかったからである。

　ただ、戦果が目覚しかったのは最初だけの話である。

　大国が反撃に本腰を入れ始めると、小国の様相はいよいよ危うくなってきた。

　戦地に直接赴いていない小国の国民でさえも、そろそろ敗北という現実を自覚し始めていて、小国はにっちもさっちも行かない状況だったのである。

　もっとも、小国の城の牢屋の見張り番に過ぎない俺には、その危機感さえもかなり薄い状態だったのだけれど。