親愛か、情愛か、はたまたもっと暗い愛か。魅力と魔力を備えた一作。

河原に待っている男が一人。そこへ迷い込んだ女が一人。

彼が淡々と語るは重い半生。
得られるはずのものを得られなかった彼が抱える歪み。
それを淡々と、しかして魔力を籠めて書き上げる語り口は見事。

徐々に語られるは狂った提案。
その中には、歪んだ性(せい)と悲しき性(さが)。
インモラルの興奮と寂しさと切なさが同居する一作。

苦手な方もいらっしゃるかも知れませんが、それでも私は引き寄せされる一作でした。