『巣』に関する覚書(ネタバレあり)

尾八原ジュージ

覚書

 2022年5月26日に完結したホラー長編『巣』ですが、例によってプロットなどもなく、行き当たりばったりで書いていたので、途中で計画を修正したり、こっそり公開分を修正したりしていました。

 こちらはそういったことに関する覚書です。なお、大いにネタバレを含みますのでご注意ください。


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・連載を始めたとき、とりあえず「幽霊屋敷」ものにするということと、兄嫁がやばいということは決まっていた。他のことはほぼ白紙のまま書き始めた。『みんなこわい話が大すき』を超える見切り発車だったと自覚している。

・「家族の問題」に入るくらいまで、父・母・兄に関する性格等の特徴がほとんど決まっていなかった。とりあえず外でお金を稼いできてもらわないと家が維持できなくなるので困ると思い、全員働きに出てもらった。実は2022年5月27日現在、父と母はまだ下の名前が決まっていない(本文中に出てきていませんよね? もし書かれていたとすれば、人名作成メーカーで作ったものをそのままつけたために忘れてしまったのだと思います)。

・「入ってはいけない部屋」も因果などは一切決まっていなかった。そもそも十万字を超えるとは思っておらず、短編・中編なら因果を明かさずに物語を閉じてもいけるだろうと思っていた。

・『みんなこわい話が大すき』の登場人物を流用するか否かは、連載開始時点では決まっていなかった。「困ったら出そう」と思っていたのだが、案の定困ったので志朗と黒木が登場することになった。

・志朗と「井戸の家」を関連づけるために、最初は『みんな~』で登場した神谷実咲を再度出そうと思っていた。美苗の会社の総務部の女性が神谷になるはずだったが、どうも座りが悪いのでやめた。神谷は気に入っているキャラクターなのに、性格が強すぎるせいなのかスピンオフが書けない。いつか書きたいという気持ちはある。その後、「実は同じ土地に建っている建物に住んでいた」というのを思いついた。

・無言電話の主については、最初は兄の不倫相手を想定していた。しかしストーリーにいい感じに組み込めなかったので、鬼頭の母に変更された。なお綾子は不倫相手も家族に取り込もうとしていたし、自分では産めない子どもを産んでもらおうともしていた。

・井戸の家がサンパルト境町になるのに何年かけるか決めていなかったので、とりあえず本文中にスマートフォンを登場させずにおいた(すでに登場してしまっていたので、こっそり削除した)。二十年くらいかかるかも? と思っていたので……。

・桃花は最初、部屋で発見された時点で死んでいた。実は葬儀のシーンまで書いており、ものすごく気が滅入った。しかし死なせてしまうと、美苗をこの家に引き留めておく理由が弱くなってしまうと思い、生かしておくことにした。

・書き始めた当初、鬼頭が登場する予定はなかった。ただ「井戸の家」を書いている時点で相当煮詰まっていたため、誰かしら「ここはやばい」と主張する霊感もちの人物が必要だと思って登場させた。「どお―――ん」は「鳴弦の儀」という、矢をつがえずに弓を引いて音を鳴らす儀式から思いついた。例の部屋に入って命を落とす予定だったが、思いがけず人気があったので延命することにした。

・行き当たりばったりで書いていたので、登場人物が死ぬたびにビクビクしていた。さすがにこのレベルのイベントになると、あとでこっそりなかったことにするということができない。

・「入ってはいけない部屋」に「すごい強い呪いの人形」を入れて、やばい呪いの「ほこたて」みたいなことをやろうと思ったこともあったが、どうしてもホラーらしくならなさそうなのでやめた。この「人形」という要素だけが残った。

・二階堂もあんなに活躍するとは思っていなかった。引っ越しをするときに管理会社の人間を通すかなと思ったので登場させた。

・「サンパルト境町」「二階堂草介」「ゆるぼ」のネーミングは、Twitterで募集し、フォロワーから寄せていただいた案を元にしている。その節はご協力いただき、どうもありがとうございました。大変助かりました。

・連載を始めた当初、前述のとおり内容があまり決まっていなかったため、汎用性が高いものをと思って『巣』というタイトルにした。タイトルが短すぎたため、たまにスマホで上手くタップできないときがあった。

・話の流れ上「井戸の家」を燃やさなければならなくなったとき、どうすれば短時間で燃えるか悩んだ。結果、「母はバイクが趣味」という設定を増やし、ガソリンを手に入れられるように変更した。季節を冬にしておけばよかった(灯油ストーブなどを使っていれば、灯油を簡単に手に入れられる)とすごく後悔した。「今度幽霊屋敷ものをやるときは、季節は冬にしよう」とかなり本気で思ったし今も思っている。

・二階堂の既婚者子持ち設定は登場当初なかった。『巣』の第七話あたりを書いていたときにふと思いつき、意外性があって面白いかもと採用した。

・毎日更新していたのは、例によって「間が空いたらエタりそう」と恐怖していたことが大きい。

・章タイトルは時々しれっと変更した。


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 2022年5月27日現在、思い出せたのはこんなところです。もし思い出したことがあれば、適宜書き足していきたいと思います。

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『巣』に関する覚書(ネタバレあり) 尾八原ジュージ @zi-yon

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