第4話 女性のお仕事

 ファンタジーでも良く見るメイドや侍女についての、ちょろい解説をしてみようと思います。いいですか、基本は自分で調べろです。でも忙しい人の為に私がかいつまんで並べますよ、そういうのが趣味です。


 一般家庭がどうしたとかはどうでも良いので、やはりお貴族様のお話に集約しましょう。基本的には王女でも、伯爵令嬢でも似たようなもの。ただしその女主人の階級により、家庭教師以上の担当者が最低限の身分〇〇みたいな制限が産まれたりはしますね。


 まず、高貴な生まれの女性(もう世の中には男はいないとでも思ってねw)は、その瞬間から貴族です、家庭には家族と使用人などしか居ません。つまりピラミッドの頂点の小さい三角に属しています。


 そのピラミッドも三つの階層に別れています、二層目の上級な淑女たちと、三層目の使用人たちですね。ともすれば二層目を表現しないことが多くなりがちなので、解説ではそこにスポットライトですよ。


 家族の説明は概ね済んでいるので、産まれてからどうなるかを少し。まず、乳母が付けられます。ナニーと呼ばれている乳幼児を育てる役目の役職です。当然下級使用人ではなく二層目の存在、上級使用人です。


 育てている間も、お嬢様でありご主人様を育てさせていただく立場です。とはいえ教育全般も担当するので、超絶慎重に人選されます。その後は家庭教師が付けられますが、こちらは師なので使用人ではない、二層目でも上限一杯の特別待遇。


 いつしか成人するまでこういった人物の淑女教育がずっと続けられることになります。生活する為に必要な人材も居ます、それがメイド。人や場所に縛られているなら専属かもしれません。


 簡単に立場を整理すると、女主人>家庭教師>上級使用人>(中級使用人)下級使用人ですね。実はここから漏れている存在があって、物語ではちらほらみかけられる存在が、女主人と家庭教師の間に挟まります、それがコンパニオンです。


 レディズ・コンパニオン、何者か。これは簡単に言えば、女主人のお仲間です。それも手下のような姉のような。なんだそりゃと思われるでしょう。

 貴族のご令嬢にはやはりお相手が必要です。時に楽しく、時に間違いを正し、時に自分を支えてくれるような存在が。お茶をするなら目の前に座り、問題があれば共に解決し、心が乱れたら助けてくれる人。


 女主人に毎月お手当を頂き(給金ではない)、共に暮らして使用人らに、女主人代わりに指示を出したりする存在。家族ではないけれど、使用人でもない、いわば雇用人。対等の関係ではなく、さりとて上下関係でもない同盟者。それでいて女主人よりもやや降る立場、五厘下りとでも言えば良いのか。


 若い女性が一人で男性に会うのは宜しくない、親族の男性か、年長の親戚が付き添うのが慣習だったわけですが、このコンパニオンならば付き添いに適切であるという作用もしました。


 そして次に侍女ですね。メイドと一緒とか思われては困ります、侍女はれっきとした雇用人という存在です。コンパニオンと違い、侍女は女主人の従者で、給金を受け取っていました。その上で、侍女は使用人らからはお嬢様と呼ばれる存在です。なので高貴な身分の人物がなり得る職種ですね。


 役割は女主人の身の周りの世話や、衣装や宝石の管理、服装や髪形などの担当をして、買い物の補佐をすること。メイドなどの使用人に対する命令も可能だった。


 上級使用人は召使いという存在でありならがも、社会的な立場をそれなりに認められている。特に最上級のハウスキーパーは、使用人でありながらメイドの人事権を持っているなど、実務に関しては侍女を上回る権限を持っていた。本人は決してメイドという属性ではない。


 上級メイドにレディースメイドが存在する、メイド長でも良い呼称がこれ。侍女のような役割を与えられている使用人、何とハウスキーパーの人事権が及ばない特殊なメイド。


 中級メイドにパーラーメイドが当てはまる。これは良く登場する、なぜならば接客メイドだから。その為、容姿で選ばれたり、会話が秀逸な才女が選抜される。また特別なメイド服が割り当てられるなど、まさに物語に登場する様々な属性を持ち合わせている。


 これら以外は概ね下級メイド。厨房、ランドリー、子守、酪農、倉庫管理、寝室……などなど。これらがモブ。だがこれらより下が存在する、最下級で恵まれないメイドそれが、メオドオヴオールワーク! 何かって? 完全雑用メイド。

 決して全てが出来る最強メイドではない。お賃金不足によりワンオペを強要されているメイドがこれです。優秀なら他所へ行くけど、色々あって他では働けず評価もされない不遇職。

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中世ヨーロッパ小説の糧(イギリス) 愛LOVEルピア☆ミ @miraukakka

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