明度が低く彩度が高い極彩色の何か…

 この物語、あらすじにある「江戸川乱歩に捧げます」の一言が、実によく合います。

 怪奇的であり、幻想的であり、一切、そのような描写がないにも関わらず、ある種のフェチズム、エロチシズムすら感じられる、正しく江戸川乱歩の怪奇小説を読んだと時とそっくりの読後感があります。

 明確に季節や時刻が書かれている訳でもないのに、どうしても薄暗い印象がありつつも、登場人物の顔、服装は実に鮮やかで、スポットライトが当たっているようにすら思える雰囲気は、大正から昭和に年号が変わった頃の空気を感じられます。

 奇しくも今、平成から令和へと年号が変わった時期です。

 成る程、これはホラーです。怖いというのではなく、鬱々とした奇妙さがあります。

 しかし鬱々しいとは、美しいにも繋がっているのです。