隕石vs人間! ……いや、実は……?

日常的に隕石が落下してくる世界。隕石には恩恵もあれば危険もある。バフメテオと呼ばれる隕石は高値で売れるし、クリプチと呼ばれる未確認生物はペットとして人気がある。一方で、ライトティアと呼ばれる軽量隕石が町に破壊的な損害をもたらしたことがあるし、ユーテネスと呼ばれる巨大異星人は500人もの人間を喰い殺したと言われている……。

この未曾有の災害を前に、日本でも対人外生物異物対処班〈ホスクラドフリート〉が発足された。少数精鋭のこのチーム、社会的な注目を集めながらも曲者揃いで飄々と、間断なく襲いかかる不思議な事態と渡り合っていく。そのメンバーの一人が、巨大ひかりという女の子。彼女、途方もない秘密を有しており……。

と、ここまで粗筋を紹介しても、一ミリもこの作品の魅力が伝えられないんですよ!!
まずはプロローグとなる「00 隕石の功罪」をお読みください。突然降り注ぐこととなった隕石に、我々の社会がどれほど動揺し得るのか、映画さながらの情景とともに描かれています。一読してわかるのは、ここには〈現代社会〉があるということ。様々な組織があり、様々な人間がいて、様々な決断がある。この社会性のぶ厚さは、『第6のネフィリム』の基調をなします。ともすれば子ども騙しのヒーローものになりかねないモチーフなのに、むしろ大人の政治の世界を意識させる。実際、この作品のキャラクターが輝くのは、政治的な混乱の真っ只中にいるときです。

プロローグを読んだ後に改めて確認するとよいのが、作者ご自身で書かれている作品紹介です。もう、なんというか、一番大事なネタバレが最初に書いてあるというユーモアに、読者のあなたはどう立ち向かいますか。書きぶりもざっくばらんで、飲み屋で面白本を紹介するときのテンションです。この軽やかさこそ、この作品の正真正銘の魅力かもしれません。

宇宙から降り注ぐ隕石が、地に足のついた重厚な社会観と、空を漂うかのような軽やかな人間観とを結びつける。結びついた世界がわたしたちをどこへ運んでいくのか。これは結末を見届けるまでわかりません。
未読の方は、ぜひ一緒に見守りましょう。

(作品完結後に改めてレビューいたします!)

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