第4話 TV放送

 TVドキュメンタリー番組で放送される。題名「クッキーロック、シュガーマウンテン」

 最初は、ゴミ拾いのエレナを追うカメラ。

エレナ、壊れた傘や腕の取れた人形などの拾った物を両親に持っていくが、捨てられて怒られる。

エレナ、物を探しに行く。途中、お腹が減ったので、生ゴミあさって食べる。


『落ちているもの拾って食べるエレナ』が放送され始めると、家でテレビを見ている視聴者たちも驚愕する。

 みな噂では聞いて知っていたが、映像が直に放送されて目の前で映し出されると、誰もが衝撃を受けた。

 可愛いエレナがにこやかに、落ちている麺とか袋にこびりついたチョコを舐め取っている姿に反応した。

「駄目よ。そんなもの食べちゃ駄目」

 テレビに向かって、出演者を馬鹿にしているおばちゃんたちが、叫び声をあげる。


 テレビ局では、放送をされた時から「映像を止めろ」「よくぞながした」の賛否の連絡が、制作デスクに繋がり、電話が何台も鳴り響き止まらない。

「凄い、大反響」

 制作班はすぐさま、ジュリアに続編を頼み、再びスラム街に、エレナに会いにジュリアがいく。


 まだ宝探しの残るゴミの島の道で、人が少ない場所でインタビュウ。

エレナに聞くジュリア。

「学校は行かないの?」

「行ってない。でも一度、先生が広場にきたわ。そこで会ったの」

「先生は何を教えてくれた?」

「その先生は願い事があったら、お星様に言いなさいって。もしかしたら叶うかもしれないって、言ったわ」

「ひどい先生ね。そんなこと教えて。いい加減ね」

「そうかしら。こんな私でも夢を見れるから、とてもいいと思う」

「エレナに願いってあるの?」

「あるわ」

 やせ細っているが、大きな瞳をキラキラさせて応えるエレナ。

「お腹いっぱい食べて眠ること。それが願い」

 エレナの顔のアップが一般家庭の家のテレビの画面に写る。

エレナを見つめている視聴者は、健気な姿に涙を流す。

 特に子供を持つ家族に大反響。


 テレビ局の局長や重役たちが制作デスクに訪ねてきて、出社したジュリアを迎える。

「素晴らしい逸材だ。役者か?」

「いえ、宝探しのニュースを撮影に行って、たまたま見つけたものです」

 喜んでいる制作部と握手している。

「当てたな。あの子を追え。」

 部長が、音声&撮影助手と専用車両&制作の2人の人間をつけて、体制を強化。

にこやかにジュリアとカメラマンを取材に出す。

嬉しそうに準備をしているカメラマン・ピーター

「これでギャラが1桁、いやもしかしたら2桁アップするぞ」

 機材チェックの準備しているが、その横で手が止まり考え事をしているジュリアに気がつく

「ジュリア、なにしてんだ。行くぞ」

「うん」

「なんだ?体調不良か。あんな場所だ、崩れるのもわかる」

 再びのゴミ島に向かうので、防臭のマスクやテッシュも鞄につめるピーター。

「体は大丈夫。でもなんか嫌なんだよね。・・・・なんか可哀そうで、エレナにあまり、会いたくないんだ」

「おまえ感情入れ過ぎなんだよ。俺たちは取材に行くだけ。その相手がどんなに可哀想だとしても所詮、他人の子供だ。俺たちにはどうにも出来ない」

「判ってるよ、そんなこと。でもあの子を見ていると、なんか・・・・世の中、全てに腹が立ってくるのよ」

 ピーターはジュリアの雰囲気を察して忠告する。

「俺たちは傍観者だ。遠くから見つめるだけしかできない仕事だぜ。そしてそれを記録するだけ。熱くなったらダメだぜ。・・・まあ表現者としては熱い魂はいるかもな」

 そう言って笑っているピーターはカメラを担ぎ、新しく加わったクルーと共に駐車場の車に向かっていく。

「甘いのかなテレビマンとして」

 溜息をもらすジュリアも、手帳をカバンに入れて後に続く。




 ジュリアたちがスラム街につき、エレナの家にいくと、ちょっとした車の渋滞になっている。

「何?」

 ジュリアたちの車エレナの家に行くと、他のテレビ局が何局も来ているのを見る。

「どうしたの?宝石でもみつかったの?」

「違う。エレナの取材してこいって。あんたの後追いだよ」

「でもこの騒ぎは何?どうしたの?」

 みると両親のヨナとパレモがエレナを掴んで騒いでいる。

「この子を撮影したかったら、金をだしな」

「取材料だよ。払いなよ」

 ヨナが集まっている取材陣に近寄り、手を出して叫んでいるのが目に入る。

「何やってんのあいつら?」

 見つめるジュリア、呆れている。

他のテレビ局のクルーがパレモに聞く。

「いくら払うんですか?」

「10万だ、10万はらえ」

 そのクルーは手を振り「無理」と反応する。

他のクルーもパレモの馬鹿さ加減をしり、帰っていく取材班も出てくる。

「待て、行かないでくれ。冗談だ。・・・・いくらなら出せる?あんたはいくらだ?」

 パレモ、卑屈になり、各クルーに聞いて回る。

それを見て、ジュリアたちの制作がピーターに聞いてくる。

「いくら渡せばいいですかね?」

「適当に渡せばいいだろ。ふざけやがって」


 パレモがクルーから金を集め終わると、ヨナがエレナを生ゴミ捨て場に連れて行く。そして、ヨナが怒るように指図して

「なんか食べな。食べるんだよ」

 するとエレナ、その辺のものを食べる。

取材陣、一応それを写すが途中で止めて帰る。

ジュリアとピーターも呆れて、撮影をストップ。

パレモ、必死に帰っていく取材クルーに

「明日もやりますから撮影に来てくださいね」

 媚を売って、お辞儀する。

エレナ、ジュリアに気がつき、近寄ってきて微笑む。

ジュリア、みんなにペコペコお辞儀しているパレモとヨナを指差す。

「あれ誰?」

「お父さん、お母さん」

「本当の?」

「本当って?」

 ピーターがジュリアを小突く。「あまり変なこというな」という意味。

怒っているジュリア、その本物かどうかわからない両親に見せないようにして、エレナにお金を掴ませる。

「絶対にあいつらに渡しちゃ駄目。これで好きなもの死ぬほど食べなさい」

 エレナ頷くと、お金を自分のパンツの中にしまう。それを見つめて頭を撫でるジュリア。

「頑張って生きて、お願いよ」

 エレナの頭を撫でながら、悔し涙を流すジュリア。


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