性質の深化

名も持たず性奴隷のような暮らしをしていた少年がヤクザと出会い自分の価値に気づきアウトローの世界で成長していく、言わばシンデレラストーリーのロジックです。少年は埋もれた原石であり出会いによって磨かれるわけですが進んだ道を思えば一般的な幸福感からは逸脱したものです。その価値は少年自身にしかありません。そもそも成長というよりは持って生まれた性質が深化したというのが正しいのでしょうか。暗部のカリスマ的なキャラクター造形からは大塚さんのご趣味を垣間見た気がします。

今作は以前に大塚さんが書かれた作品との繋がりがあり、それらを読まれてから、或いはこちらを読んで他を読まれるとまた感想も違ってくるかと思います。少年の至る道、恩人の背景など、彼らの生き様をもっと見ていたいという方は是非。

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