第14話クリスマス②真央side
今の時間は18時半
冬だから周りは真っ暗。だけど目的の場所に近づくにつれ明るさが増していく
「綺麗……」
そう呟いてしまうほどそこには美しいイルミネーションが広がっていた
これから隣にいる奏太君と一緒に歩いていくと思うと心が躍る
自然と奏太君と目が合った
「イルミネーション綺麗だね」
「うん。すっごく綺麗」
「じゃあ歩こっか」
「うん!」
イルミネーションの中、歩きながら奏太君の方を見る
明かりに照らされている奏太君の姿はいつにも増してかっこいい気がする
そんな風に思っていると、ちょうど通り過ぎて行った二人組の女の子たちが
「ねーあの二人めっちゃ美男美女じゃない!?」
「それな!?やっぱり付き合ってるのかな?」
「それはそうでしょ!付き合ってなかったらこんな場所来てないって」
「でも私たち彼氏いないよね……」
「くそー!来年こそは彼氏と来たい!」
そんな会話が聞こえてきた
カップルだと思われちゃったみたいで恥ずかしい反面すごく嬉しかった
最近では奏太君と私とじゃ釣り合わないかもしれないとも思っていたから――
それから少しして、近くのベンチが目に入った
私はこのタイミングだと思い奏太君に声を掛けた
「あそこのベンチで休憩しない?」
「分かった。あ、飲み物買ってくるから先座ってて」
「はい。真央の分」
奏太君は戻ってくると、あったかいココアの缶を私の手のひらに置いた
「ありがとう。あったかい」
「真央寒そうだけど平気?」
「平気だよ」
奏太君はいつも私を気遣ってくれる
そんな優しいところも好き
それから少し話した後
「それにしても奏太君とは初めて会ってから2カ月も経ってないんだね。なんか不思議」
「俺も。こんな短期間でここまで仲良くなれるなんて思ってなかった」
「ふふっ。やっぱり二人とも同じようなこと思ってたんだね」
「だな」
そう言って二人で微笑む
「あのね、奏太君に渡したいものあるの」
「なに?」
私は紙袋を奏太君に渡した
「見てもいい?」
「うんっ」
奏太君は紙袋に手を入れて
「おっ。手袋!」
「どうかな?」
「めっちゃいい。俺手袋とか持ってなかったし。ありがとう!」
奏太君が喜んでくれて一安心
「あ、そういえば俺も真央に渡すものあるんだけど」
そう言って奏太君も私に紙袋を渡してきた
「えっ、めっちゃ可愛い」
紙袋から出てきたのは可愛い模様をしたマフラーだった
「気に入った?」
「うんっ!すっごく嬉しい!ありがとう」
今日一番心がドキドキしてるかもしれない
嬉しさでドキドキするって相当だよ?
こんな気持ちにされたらもう我慢できないわけないよね
もう決めた、今日家に帰るまでに奏太君に思いを伝えると
そしてこの恋に決着をつけよう
この時の私は今日という日が上手く行きすぎていて期待しすぎていたのかもしれない
恋にトラブルが付きものだってことをまだ、知らなかったから――
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