第10話 雨の日②(真央side)

伸ばしていた髪を切ったのは少しでもいいから奏太君の気を引きたかったから

朝、奏太君と話すまでずっと不安だった

もし今日も避けられてクリスマスも誘えなかったら。クリスマスの日、私はベットの中で一日中泣いてしまうと思う

だけどそんな不安一瞬で吹き飛んだ

朝、私の顔を見た奏太君は驚いた顔をしていた

奏太君は自分の表情に気づいてないんだろうけど、私は奏太君の普段見れない顔を見れて嬉しかったよ

髪を切ったのは正解だったかな?

その後は前みたいにお話しできた

けど実はあの後トイレに行って泣いちゃったんだ

だって久しぶりの好きな男の子との会話だよ?泣いちゃうくらい嬉しいに決まってるじゃん


昼休み、奏太君にお昼ご飯を一緒に食べないか誘った

正直ちょっと怖かった

朝話せたのはたまたまでまた避けられるかもしれない

そんなことあるわけないのに

私ってほんと臆病

だけどそんな気持ちが顔に出てしまっていたのか、屋上の扉の前まで連れられた後

突然謝られた

別に怒ってない

ただ、ね

「寂しかった」


もう私のそばからいなくならないで


傘を忘れた。けど今はそれでよかったと思える。だって奏太君と一緒の傘に入れたから

だけどやっぱり1つの傘に2人では入りきらなくて奏太君の肩が濡れてしまっていた

そのことを伝えると奏太君は私に風邪ひかせなくないと言ってきた

ただでさえ距離が近くてどきどきしてるのにそんなこと言うのはいくらなんでも反則すぎ!


帰り道。ここで言うしかないと思う

「クリスマス私とお出かけしませんか?」

「ふふ、いいけど。なんで敬語なの?」

返事は意外にもあっさりで――

だけど、多分今日は眠れない。クリスマスが楽しみ過ぎて。もう高校生なのに、まるで遠足前の小学生みたい


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