転校してきた美少女に懐かれた件

ういうい

第1話 出会い

月曜の朝。目覚ましの音で起きる。休み明けの学校というものはとても憂鬱で休みたくなるが、簡単に休めないのが現実だろう。

顔を洗い、朝ご飯を食べて制服に着替える。

憂鬱な気分のまま学校に向かう。


いつもより早く学校に来ると、教室はあまり人が来ておらず静かで今日みたいな憂鬱な日には心を落ち着けるにはちょうどよかった。


もうすぐホームルームの時間だ。教室もざわざわしてきた

すると――

奏太かなたおはよー」

「おはよう」

挨拶してきたこいつは小学生のころからの親友だ

「奏太君は今日もかっこいいなー!俺にもイケメン細胞わけてくれよお!」

朝から何言ってんだこいつ

「そんなもんねえよ、それにしゅんだってイケメンじゃん。」

「あ。こいつ今、俊だってって言いましたー自分がイケメンなのは否定しないんですねー」

「あ、先生来たぞ」

「おい!あからさまに話そらすな!」

まるでタイミングを見計らったかのようなチャイムの音と同時に先生が入ってきた

「ちっ。おぼえとけよ!」

なにが覚えとけよだ

そんな感じで俊とは高校生になった今でも冗談を言い合ったりしている。


ホームルームが始まり、いつもと同じように終わるのかと思っていたが今日は様子が違う。

「今日から転校生がうちのクラスにやってくることになった」

教室がざわめく

「それじゃあ入ってきていいよー」

ガラガラ――


入ってきたのは、白っぽいようで金色の髪をしている美少女だった

多分ほとんどのクラスメートがその容姿に思わず見とれていたと思う。

「それでは自己紹介をよろしく頼む」

「はい。愛沢真央あいざわまおといいます。親の仕事の都合で転校してきました。まだ引っ越してきたばっかで、この辺のことはよくわからないので教えてもらえるとうれしいです!よろしくお願いします」

パチパチパチ――

「それじゃあ席はあそこの空いてる席に座ってくれるか?」

「はーい」

どうやら愛沢さんの席は俺の席の前になるらしい。

自分の席までやってきた愛沢さんはそのまま座るのかと思ったがこちらをちらっと。

小声で――

「よろしくねっ」

俺は一瞬返事をするのをためらったがさすがに無視するのは失礼だなと思ったので、軽く会釈した。


その後、軽く先生が話をした後ホームルームは解散となった。


終わった瞬間、それまで黙っていたクラスメートが動き出そうとしているのに気が付いた俺は俊の席に来ていた。

そして俺の席のほうからは話し声がたくさん聞こえてくる

「愛沢さんって外国人!?」

「ハーフだよー!」

いろいろ質問攻めにあっているようだ。

しかし嫌がるそぶりを見せずになんなら楽しそうに答え続けている。

そんな様子を遠目から見ていると俊が――

「奏太はさあ。彼女作らないわけ?」

「今はいいかな」

「正直、お前が恋人を作ろうとしない理由を知ってるからあれだけど、モテるのにもったいねーよなー」

「まあ好きな人ができたら告白する」

「なら転校生とかどう思う?めっちゃ可愛くね?」

「それな。普通に教室入ってきたときびっくりした」

「お、もしかして気になってる?告白する?」

「なんでいきなり告白なんだよ。それに外見だけで人を好きになったり俺にはできないな」

「まあ奏太ならそういうと思ってたよ。この両面イケメンめ」

その後は休み時間以外はいつも通りの一日だった


放課後――

自宅までの道を歩いていると近所の公園のほうから揉めているような声が聞こえてきた。

「ねえねえ、お願いだから!少しでいいからお兄さんたちと遊ばない?」

「俺たちいい店知ってるからさ!いこいこ!」

愛沢さん?

見ると、愛沢さんが2人組の男にかなりしつこくナンパされているようだった

「すいません。早く帰りたいので。」

愛沢さんはきっぱり断って帰ろうとするのだが――

1人の男がいきなり、愛沢さんの腕をつかむと

「俺たちさ、君みたいなかわいい子見たことないんだわ。こっちにとってはチャンスな訳。そんな簡単には帰さないよ」

断った瞬間男たちはさっきまでの明るい雰囲気から一転、脅すような雰囲気になってきていた。

今度はもう一人の男が――

「君かわいいしさ、どうせいろんな男とヤってんだろ?すぐ終わらすからさ、俺たちとホテルいこ?ね?」

少し様子を見るつもりだった奏太もさすがにやばくなってきたなと感じ始めていた。



                 愛沢真央side

ナンパされたことはいままでに沢山ある。けれどこんなに失礼で、しつこい人たちは初めてだった。

しかも私そんな女じゃないし。

どうにかして逃げようと考えていると――

「もう寒くなってきたしさ、そこに車止めてあるんだけどその中でお話ししよっか?」

「お!それいいな。なんなら車のなかでするのも悪くねえな」

なにこの人たち、にやにやしてて気持ち悪い。

「無理なのでもう帰らしてくださいっ」

振り切って逃げようとするが――

「だから帰さねえよ。おい早く車まで連れてくぞ」

そのまま腕を引っ張って連れてこうとしてくる

え?やだ。まって。こわい。こわい。

叫ぼうとしても恐怖で声が出ない

このまま連れてかれちゃうの?そんなの無理。

誰か助けて――

心の中で叫んだその時。

「その子のこと放してくれませんか?」

そこにいたのは後ろの席の男の子だった

「なんでおまえに言われなくちゃいけねえんだよ」

「てかお前だれ。関係ないよな」

「クラスメートですよ。」

彼は冷静にそう告げた

「だからなんだよ。俺たちは今3人で話してる最中だから。関係ないお前が首突っ込んでんじゃねえよ!」

「だーかーらその子嫌がってるじゃないですか。しかもなんか連れて行こうとしてるし。とにかく放してあげてくださいよ」

このままじゃ喧嘩になりそうなところで次第に人が集まりだしてきた。

さすがに長時間も揉めていたので近隣の人たちにも聞こえてきたのかもしれない。

男たちも焦ってきたのか舌打ちして車のほうに逃げるようにして去っていった



           奏太side

正直めっちゃ怖かった

このままじゃまずいと思い勢いで行動してしまった。

喧嘩になったら負けていたと思う。けれど人が来てくれて助かったし、本当に運がよかった。


ケガとかしてないと思うけど一応聞いてみるか

「なにかされてない?大丈夫だった?」

すると突然、愛沢さんが抱き着いてきた

正直びっくりしたが、顔をうずめたまま嗚咽のような声が聞こえて、泣き止むまではこのままでいてあげようと思った

数分後――

「助けてくれてありがとう」

「平気だよ。それよりけがとか大丈夫?」

「大丈夫。…あと君の名前教えてくれませんか?」

愛沢さんはなぜか敬語で顔を少し赤らめている

「名前は桜井奏太さくらいかなた

「じゃあ奏太くんって呼んでもいい?」

「好きな呼び方でいいよ」

「やったー!じゃあ私のことは真央って呼んで!」

「愛沢さんじゃだめ?」

「他人行儀みたいじゃーん!せっかくならやっぱり真央って呼んでほしいな」

「じゃあ真央で…」

「うん!これからよろしくね奏太くん!」

元気を取り戻した真央はその後、親に公園まで迎えに来てもらい自宅に帰っていった。

待っている間は好きな映画やドラマの話なんかしてて楽しかった。

真央のお母さんからはとても感謝され、今度家に来ないかなんて誘われた。

帰り際にはLINEも交換し、真央から「また明日ね!」と言われたときはうれしかった


高校に入ってこんなに自然に女子と話せたのは初めてだった。

普段女子とは距離を置いて話してしまうのになぜか真央とは自然に話せた、自分が成長したからなのかそれとも相手が真央だったからなのかは分からない。しかしあの時よりかは成長しているんじゃないだろうか…

いつか本当に好きな人ができてその人と恋人になれたなら――

なんて思うけどそんな先のことよりも今は新しくできた友達と友情を深めていきたい。そう思った


                 真央side

男たちが去っていくと、それまで我慢してきた気持ちがあふれてきて泣いてしまった。

しかもつい抱きついてしまい…今思うと恥ずかしい。

もしかしてやばい女かと思われたかもしれないけど、奏太くんは泣き止むまでそっとしてくれたし、その後も気遣ってくれて本当に優しくてこんなに素敵な男の子がいるんだってびっくりした。


実はあれから奏太くんのことを考えるとすごく心がドキドキする。こんなこと生まれて初めてだけど、今自分が奏太君に抱いてる想いは確かにわかる。


それは恋――
















































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