第5話 お泊り

昼飯を食べ終えた俺たちは部屋に戻ってきていた

さっきから真央はなにか考え事でもしているのか部屋に戻ってきてからまだ一度も話していない

なにか言おうかと考えていると真央のほうから

「ねえ、私たちが付き合ってるって噂されてるの知ってる?」

「うん」

男女が一緒にいればそういった噂をされるのはよくあることだ

「奏太君はそういう噂されるの嫌?」

「俺はそういうのは気にしないかな。逆に真央は平気?」

「私も平気。そういう噂されるの慣れてるから」

「そっか」

今までこういう話題には触れてこなかったので真央から言ってきたことに少し驚いた

「じゃあ噂されて困ってたりしない?たとえば好きな人がいるとか……?」

「いない。それにこれからも誰かと付き合ったりしないと思うから気にしないでいいよ」

「ふーん。けどさ奏太君の事好きな子ってたくさんいるよ?もしかわいい子に告白されたりしたらどうするの?」

「断るかな」

「どうして?」

「ちょっと長くなるけどいい?」

「いいよ」

「前にさ、真央が転校してきたとき女子となんで話さないのかって聞いてきたじゃん?あの時は緊張するからって言ってたんだけど、本当は女子が苦手だからなんだよね。昔ちょっと嫌なことがあってさ、それから女子が苦手になっちゃって。だから今は告白されても付き合わないかな。それに外見だけじゃなくしっかり内面を知ってから告白してほしいし。けどそれも俺が女子と会話を避けるからいけないんだけどね」

「……そうだったんだ」

真央は俺の話を真剣に聞いてくれた

「その嫌なことがあったってやっぱり女の子関係なんだよね?」

「うん」

「どんなことがあったのかとかは聞いちゃダメ……?」

「うーんとごめん今は思い出したくないかな」

その時の真央の顔は今まで見たことがない悲しそうな表情だった

「こっちのほうこそごめん。今のは奏太君の気持ちも考えないで言っちゃった本当にごめんね」

「そんなに謝らなくっていいって!もとはといえば最初に本当のことを話してなかった俺が悪いんだから」

「奏太君は優しすぎるって。少しは怒っていいんだよ?」

「大事な友達にこんなことで怒ったりしないから」

「ありがとう」

といったもののあれから真央の様子は元気がないように見えた

「せっかくだし真央のお母さんが買ってきてくれたケーキ二人で食べよっか!」

「うん!じゃあさっきのお詫びに奏太君から好きなの選んでいーよ!」

少しだけいつもの調子に戻ってくれた真央とキッチンに向かった


かなりの時間が経ち今の時刻は夕方の6時だ

あれから俺たちはぶっ通しでやるほどゲームにはまっていた

「疲れた」

「それ!にしても奏太君も今日だけですごい上手くなったね」

「まだまだ真央には勝てないけどな」

「そりゃあね!」

「今日は楽しかった!」

「私も!」

「じゃあそろそろ帰ろっかな」

「玄関まで送るよ」


玄関まで来ると

「じゃあ今日は昼飯とかケーキとか色々ありがとな」

「こちらこそまたきてね!」

「そんじゃ」

「また学校で!」

扉を開けるとそこには――

真っ白の世界があった

「あれ?」

何度か見返してみるが見間違えじゃないみたいだ

外は周りが見えないほどの猛吹雪になっていた

後ろを向くと真央も困惑している

「とりあえず部屋に戻ろっか!」

「おじゃまします……」


さっき出たばっかの部屋にまた戻ってきた

真央はというと家の人と連絡を取っているらしい

少し経った後

「家族全員今日は帰ってこれないって……」

「まあこの天気だとな」

この吹雪の中外に出るのは危険だろう

この後どうやって帰ろうか考えていると

「奏太君が良ければ今日ここで泊まる?」

「すごくありがたい話だけど。いいの?」

この吹雪の中帰れるとは思えないのでこちらとしてはありがたいが……

「うん!それにママも今日は泊めてあげなさいって言ってるし」

「それならお言葉に甘えさせて貰おうかな。あと一応聞いておくけど真央は俺が泊まることについて不快感とかない?一応俺も男だしさ嫌だったりしたら気を使わないで言ってくれていいからね」

真央は首を横に振った

「正直奏太君が帰っちゃうの寂しかったし、全く不快感なんてないよ」

「ありがとう。そう思ってくれて」

その後真央の部屋に敷布団を敷いてもらい今日はそこに寝ることになった


             真央side

真央はお風呂の中で自分を責めていた

今日はなんにも上手くいかなかった。途中には奏太君に意地悪な質問もしてしまったし、奏太君が女子を苦手になった理由に触れてほしくないことは分かってた。けど女の子が関係していると知ったとたん強く嫉妬してしまった。もしかしたら彼女だったのかもしれないし今の私よりもっと奏太君の近くにいた人かもしれない。そう考えると奏太君のことを考えるよりも先に口が動いてしまった

だけど奏太君はそれを簡単に許してくれた。

(奏太君優しすぎるよ……ほんとに好き)

そして奏太と二人きりで1晩を過ごすことになった今の状況にも期待してしまう

もしこれがカップルのお泊りだとしたら飽きるくらいイチャイチャして、寝る前はベッドで愛し合ったりして――

そんなことを考えていると自分も奏太君と少しだけでもいいからカップルがするようなことをしてみたいそう思ってしまった


              奏太side

真央が風呂に行ってる間にこれからの天気を確認していた

どうやら明日の朝には止むらしい。とりあえず一安心だ


少しして階段を上がってくる音が聞こえてきた

ガチャ――

「お風呂空いたよー」

「おう――」

真央のほうを見た途端言葉を失った

まだ乾ききってない金髪に火照った頬、普段見ることのない姿だからかやけに色っぽい。そして白く細い脚がはっきりと見える短パンに上はパーカーという格好にもすごくドキドキしてしまう。

この時初めて真央を異性として見た瞬間だったのかもしれない

そして一度意識してしまうとそれからは信じられないくらい心臓の音がどんどん大きくなっていった

「じゃあ俺風呂行くから」

「あ、パジャマはお父さんの置いてあるからねー」

部屋から逃げるようにお風呂場に向かった


「服のサイズ大丈夫だった?」

「ちょうどいいよ」

「ならよかった」

風呂から戻ってきても真央のことを見ると緊張してしまう

現在時刻は8時半だ

「そろそろ夜ご飯食べる?」

「うん。夜ご飯までごちそうになって悪いな」

「夜ご飯とは言ってもお昼の余りものだし、気にしなくていいからね?」

「それでも、ありがとな」


夜ご飯を食べ終えると真央がトランプをしようと言ってきた

「ババ抜きか神経衰弱どっちがいい?」

「神経衰弱で!」

「おっけー!そしたら負けた方は罰ゲームね」

「聞いてないぞ」

「今言ったもん」

「罰ゲームの内容は?」

「勝った人が決めるってことで」

といって真央はニヤニヤしている

なんか危ない気もするが

「わかった」

数十分後……

「なるほどな。俺が神経衰弱を選んだ時点で俺の負けは決まってたのか」

レースゲーム同様真央は強かった

「それじゃあ奏太君の負けってことでいいよね?」

「ああ」

「やった!じゃあ罰ゲームはどうしよっかなー」

数秒考えた後

「じゃあ奏太君は30秒間なにされても動いちゃダメっていうのは?」

「なんか怖いな」

「別に変なことはしないよ……多分」

「まあ罰ゲームだしな。分かった」

「じゃあとりあえずベットの縁に座って」

言われた通りに腰掛ける

この時の奏太は何かされるとは言ってもたかがしれてると思っていた

「じゃあ私がスタートって言ってから30秒ね。スタート!」

すると真央はこっちに向かってくると奏太の膝の上に座った

「いーちにーいさーん」

真央は膝に乗ったまま秒数を呑気に数えているが奏太はそれどころではない

さっき意識しだした女の子がこんな近くにいて、なんだかいい匂いもする。しかも真央の履いている短パンの生地が薄いのか柔らかさが伝わってきて――

いつのまにか下半身のあれが大きくなってきていた

奏太自身はまだ気づいていない、そしてそれが真央のお尻に当たってしまってる事も

「さーんじゅう。終わり!ねえ。さっきからなんか当たってるよ」

秒数を数え終わった真央はお尻に当たってるものが何なのか確認しようとして立ち上がった

その時になって奏太は自分の下半身の違和感に気づくが

真央が振り返ったころには遅かった


              真央side

遠回りになってしまったけど罰ゲームって理由で奏太君の膝に座ることができた

実はカップルがしているのを見てちょっとだけ憧れてたりもしてた

人生で一番幸せな30秒だったかもしれない

だけど途中から何か硬いのが当たってることに気が付いて立ち上がった時に確認してみるとそれは大きくなった奏太君のものだった

「んー眠くなってきたね」

今は見なかったふりをすることにする

「そうだな。もう寝る?」

「うん。今日はもう寝たいな」

「じゃあおやすみ」

「おやすみなさい」

部屋の明かりを消す

ベットの中に潜ると短パンを下して下着の中を確認する。

すると中は信じられないほど濡れていることに気づいた

真央は奏太のがお尻に当たってたことに気づいたときからムラムラしていて、もう我慢するのが限界になってきた

下着の中に指を入れる――

(奏太君がいるのにっ!)

奏太が同じ部屋で寝ているという事実が真央をさらに興奮させる

ダメだと思ってても指が勝手に動いてしまう

最初は音を出さないようにしていたが次第に激しくなり数分で果てた


翌朝奏太君は帰った

(もっと居てほしかったなぁ)

朝まで一緒にいたというのにまだ一緒にいたいと思ってしまう

いつかずっと一緒にいられれる日がくるように今は奏太君と両想いになりたい。そう思った






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