第4話 真央のお家に遊びに行く
土曜日の朝、外に出ると道は所々凍っていて道の脇にはついこの前まで降っていた雪が積まれている
今日は真央の家に遊びに行く日
約束の時間は11時で、お昼は真央のお母さんに料理を振舞ってもらえるらしい
この前の卵焼きは絶品だったのですごく楽しみだ
真央の家に着いた
ピーンポーン
チャイムを鳴らす
すると家の中からドタバタ音が聞こえてくると思うとドアが開き、私服姿の真央が出てきた
「おはよう、奏太君」
「真央もおはよう」
お互い私服姿だからなのか少し緊張してしまう
「ママも待ってるから入って!」
「じゃあお邪魔しまう」
噛んでしまった
「ふふっ噛み方かわいすぎかよ!」
「こっちは緊張してるんだよ」
「へー奏太君も緊張するんだ」
そんなふうに玄関で話していると奥から――
「あら~いらっしゃい」
真央のお母さんがやってきた
この前も思ったがやっぱり、きれいな人だなと思う
「こんにちは。今日はお世話になります」
「こんにちは~そんなにかしこまらなくてもいいのよ?」
「これ良かったらみんなで食べてください」
お菓子が入った紙袋を渡す
「本当よくできた子ねえ~ありがとう。じゃあご飯できるまで真央ちゃんの部屋で待っててもらえるかしら?」
「おっけー!奏太君ついてきて」
「おう」
階段を上っていくと真央と書かれたプレートがあるドアがあった
「ここ?」
「そうだよ!入って入ってー」
真央に押されるがまま部屋に入った瞬間、甘いようないい匂いが香ってきた
部屋の中は片付いておりピンクのカーテンやベットなどを見ると女の子の部屋だなと思う
「適当にベットの縁とかに座ってていいよーお茶持ってくるね」
「手伝おうか?」
「今日はお客さんなんだから気を使わないで!それにお茶くらい一人で運べるから」
「じゃあ頼む」
真央が出ていくと一人になった部屋の中でつい少し昔のことを思い出してしまう
本当は考えたくもない元カノとの偽物の思い出
あの時は毎週のように元カノの家に行ってたっけ
周りからもお似合いだって言われてたし正直当時の自分も上手くいってるとばかり思ってた
だけど最終的には裏切られた
「お茶もってきたよー」
「おう、ありがとな」
「どういたしまして~それにしても顔色悪いけど大丈夫?」
少し昔を思い出しただけだったのに顔に出てしまってたようだ
「大丈夫」
「そっか!まだご飯できるまで時間あるしなんかする?」
「なんかって?」
「遊べそうなのはテレビゲームとかボードゲームかな」
「真央テレビゲームとか持ってるんだね。なんかそういうのやんないタイプかと思ってた」
「全然やるよ?」
「じゃあ真央の実力も気になるしテレビゲームで!」
「じゃあ準備するね」
それから1時間俺たちはゲームに没頭した
「真央うますぎない?」
「そう?」
「一度も勝てないって相当だよ?」
俺たちがやってたのは子供から大人まで人気があるレースゲームだ。
「私はよくお姉ちゃんとやってるからね!けどお姉ちゃんのほうがもっとうまいよ」
「うわー絶対やりたくねーてか真央にお姉ちゃんいたんだ。知らなかった」
「確かに言ってなかったかも!3個上のお姉ちゃんがいるの」
「一緒にゲームするなんて仲いいんだね」
「うーんまあそれなりにって感じ、ゲームもお姉ちゃんに付き合ってあげてるだけだし」
「そうなんだ。真央のお姉ちゃんってどんな人なの?」
「やさしくて美人で頭もいいんだけどゲームとかで負けそうになると邪魔してきたりするし負けず嫌いなところもあるんだよねーだから小さいころとか毎日のように喧嘩してた」
お姉ちゃんのことを語る真央の顔はとても穏やかな顔だった
「お姉ちゃんのこと好きなんだな」
「……うん」
それから少しすると1階から声が聞こえてきた
「真央ちゃん奏太君ご飯できたわよー」
「はーい。じゃあ下にいこっか」
「おう。真央のお母さんの料理楽しみだな」
リビングに行くとたくさんの料理が並べられていた
3人で席に着く
「それじゃあ二人とも冷めないうちに食べちゃいなさい」
「「いただきます!」」
色々な料理があって何を食べようか迷う
「このハンバーグ美味しいから食べてみてよ!」
真央がお皿に取ってくれた
「お口に合うかしら」
二人に見られながら食べるのは少々緊張したが味はすごく美味かった
「めっちゃ美味しいです」
「あら本当?うれしい」
ご飯を食べ始めて少し経つと真央のお母さんから
「この前は真央ちゃんを助けてくれてありがとうね」
「いえいえ、こちらこそこんなおいしい料理まで振舞ってもらって、ありがとうございます」
「奏太君は本当いい子ねえ。これからもうちの真央をよろしくお願いします」
「こちらこそです」
娘を大事に思ってていいお母さんなんだなあ
「そういえば真央ちゃんと奏太君って付き合ってるの?」
「ちょっと!いきなり変なこと言わないでよ奏太君困っちゃうじゃん」
「だって気になるじゃない~家でも奏太君の話ばかりするし~」
「ちょっと!お母さんうるさい!」
「結局どっちなのよ?」
「真央とは友達ですよ」
奏太はいつもと変わらない態度で言った
「あら~残念。いつでももらってくれてもいいからね」
「ママ!?」
そんな風に話をしていると
「あらもうこんな時間。出かけてくるからあとは二人で楽しんでね。それと冷蔵庫にケーキが入ってるからおやつに食べなさい」
「はーい!」
「あ、お昼ご飯ごちそうさまでした!とてもおいしかったです」
「ありがとう。またいつでもおいでね!」
そう言い残して行ってしまった
真央side
さっきから真央は心がモヤモヤしていた
それは奏太がいつも通りすぎるから
さっきもママに付き合ってるの?って聞かれたとき焦る様子もなく普通に答えてたし、それに家に入るときは緊張してるとか言ってたのに私の部屋に入るときは何とも思ってなさそうだったのがすごく悔しい
(私だけ緊張しててばかみたいじゃん……)
もしかしたら自分は異性として見られてないんじゃないかなんて思ってしまう
そんなんなことないよねと心の中では思いながら少しだけ確認してみることにした――
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