聖剣を託された勇者と、魔剣を持つズレた青年が辿る運命の先は——。

 突然空を割って現れ、国一つ焼き尽くし、さらにいくつもの国を焼き尽くして火山硝子に変えた異界の竜。
 終末——ファゲルと名付けられたその竜を倒すため、王から聖剣を授けられ旅立った勇者リードは、旅の途中で魔剣を持つ妙な青年と出会います。

 好奇心から終末の竜を見たいのだと言う魔術師ユーンはごく自己中心的で皮肉屋で、リードの信仰心を軽んじ、時に非道な行いに及びます。けれど、リードのまっすぐさに彼もまた心を動かされたようで、その関係にも変化が生まれるのですが……。

 正義感の塊に見えたリード、知的好奇心でしか動かないように見えたユーン。
 けれど、二人はそれぞれそれだけではないものを抱えていて、それが故に二人はどうしようもない運命に取り込まれていきます。

 結末の切ない余韻に浸りつつ、エピローグのその先を読んでみたいと思ってしまう物語でした。

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