異界から現れ世界を破壊していく巨大な竜。混乱する人々への気休めのため、聖剣を与えられ偶像として祀り上げられた生贄勇者と、倫理観皆無で知的好奇心の塊のおかしな魔術師が何故か一緒に竜退治に向かうことに。
考え方も会話も噛み合わない魔術師に勇者はイライラしながらも、剣を交え杯を交わしながら徐々に心を近づけていきます。
バディものが大好きな私はここらへんからウキウキしちゃってましたが、第5章で見事撃沈。魔術師さいこう…!
と、ここから先はもっと最高な展開が繰り広げられます。ぜひ読んで「うわああああ!」ってなって欲しい。
タグにメリバとありますが、私は気持ちよく読み終えました。こういうエンディング大好き。だけどここからハピエンに繋がってほしいとも祈りたくなる物語です。
長くはないので気軽に読んでみてほしいです。最後にはどっぷり世界にハマってること間違いなし!
突然空を割って現れ、国一つ焼き尽くし、さらにいくつもの国を焼き尽くして火山硝子に変えた異界の竜。
終末——ファゲルと名付けられたその竜を倒すため、王から聖剣を授けられ旅立った勇者リードは、旅の途中で魔剣を持つ妙な青年と出会います。
好奇心から終末の竜を見たいのだと言う魔術師ユーンはごく自己中心的で皮肉屋で、リードの信仰心を軽んじ、時に非道な行いに及びます。けれど、リードのまっすぐさに彼もまた心を動かされたようで、その関係にも変化が生まれるのですが……。
正義感の塊に見えたリード、知的好奇心でしか動かないように見えたユーン。
けれど、二人はそれぞれそれだけではないものを抱えていて、それが故に二人はどうしようもない運命に取り込まれていきます。
結末の切ない余韻に浸りつつ、エピローグのその先を読んでみたいと思ってしまう物語でした。