鮮明に見えない桜色の視界。それは離れた人の姿ではなく自分の未来だった☆

グルメ小説をこのような形で締め括るのは粋の一言。
健啖家の妻(故人)が、夫に何かを伝えようと現れた。お腹が空いているから料理を作って欲しい……と露骨に言わないところが奥ゆかしい。出てくる献立は丁寧に調理され、温かさ溢れる描写に読み手の腹まで鳴ってくる。
料理に満足することはない、しかし別れの時は必ずやってくる。そこで妻が発した本当に伝えたかったこととは……。

夫婦らしさの際立つ会話文が何よりの魅力です。こんな相手と添い遂げたいと思いたくなる綴りっぷりに、心も泣いて腹も鳴いて楽しんで欲しい一作です☆

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