第11話・タブレット
ミッション選択画面で唵妙迩は「最初は『廃屋』から行きますか」と言いながら、ステージを選択して『持ち込みアイテム』の欄から必要な物を選ぶ。
「えーっと‥‥‥温度計とスピリットボックスとEMFと‥‥‥爆竹持って行った方がいいかな?」
唵妙迩は2人に尋ねると、まだこのゲームをよく知らないことが多いこともあって「待って、爆竹ってどういう効果があるの?」とパトリシアが尋ねる。
「このゲームはね。持ち込めるアイテムには大きく2種類あって、ひとつは幽霊を探すアイテムで、もうひとつが襲ってきた幽霊を撃退できるアイテムだね。ちなみに爆竹は襲ってきた幽霊を撃退するのに使う」
唵妙迩はそう説明すると、エメリオが「全部持っていくことって出来ますか?」と尋ねた。
「全部は無理だよ。持っていけるのはひとり3つまで、しかもひとつ持っていくのにお金も必要になるから今日始めたばかりのエメリオちゃんだけ何も持っていけないっていうね」
唵妙迩の言う通り、エメリオだけ持ち込みアイテム欄で所持金が0のため、何も買うことができなかった。
「じゃあ、私は爆竹と‥‥‥塩と‥‥‥十字架を持ってくわ」
パトリシアはそう言うと、唵妙迩はそれに合わせるように「それなら、僕は探知系のアイテムだけ持ってくよ」と言って、ミッションを開始した。
ちなみにチャット欄では「パト姉だったら拳銃持ち込みそう」「幽霊相手に役に立たんだろ」と流れて、ローディング画面には夜道を走行中のフロントライトの点いた白のバンが映る。
エメリオはそれを見ながら「あたしは基本何をすればいいんですかね?」と尋ねると、唵妙迩が「僕が持ってきた温度計でコールドスポットを探して! もし、それと硫黄が見つかったら速攻でパト姉の所に逃げてね。じゃないと即死するから!」と指示を出す。
ローディングが終わって閑静な住宅街にある一軒家の前で後部座席のドアが開いて室内灯がついた状態の白のバンの前にでる。
ここで、聞きなれない単語についてエメリオは「コールドスポットってなんですか? あと硫黄ってどういう見た目してますか?」と唵妙迩に尋ねると、初心者であるエメリオに説明する。
「室温が氷点下になっている場所のことだよ。温度計を使えばすぐに解る。硫黄は黄色い粉が盛り塩みたいな感じで置かれているから、よーく探せばわかると思うよ」
唵妙迩はそう言ってエメリオに温度計を渡すと、パトリシアが「なら私とエメリオちゃんはツーマンセルで動いた方が良くない?」と提案したため、唵妙迩は「そうだね‥‥‥このステージそこまで広くないから設置型カメラは持ってきてないし、マップの把握も兼ねて持ち帰れるアイテムの回収をしてもらっていいかな?」と言った。
チャット欄でも「初見で悪魔はやばい」「このゲームで真っ先にプレイヤーに死を届けるのって間違いなく悪魔だよね」など、このゲームに出てくる『悪魔』を危険視しているコメントが目立つ。
唵妙迩の指示にエメリオは「ちなみに持ち帰れるモノってどういったモノがありますか?」と尋ねると、唵妙迩は「コレクトアイテムだったり、消費アイテムだったりだけど、大体のオブジェクトは持つことができる。何が持ち帰れるかはやってみないと解らない」と答えて廃屋の中へ先行する。
「じゃあ、私たちはリビングを物色しましょうか? あまり離れないでね」
パトリシアはエメリオにそう言ってリビングの探索に取り掛かる。廃屋ということもあって室内の灯りは全て消えているため、懐中電灯をつけて室内を歩く。
「先に地下室を探索してくるからリビングとキッチンお願い!」
唵妙迩はそう言いながら慣れたように地下室へ続く階段を下っていき、エメリオはデジタル式の表面温度計を構えながらリビングを進み、パトリシアは爆竹を持った状態で後に続く。
「視点が一人称だからただでさえ怖いんだけど!」
エメリオはそう言って立ち止まると、パトリシアは「言っておくけど私は仕事でこういったところ見回りに言ったことあるからね? こんなの比じゃないから‥‥‥それよりも進んで!」と仕事での体験談を話しながらエメリオに前進を促す。
チャット欄では「流石パト姉!」「逆にパト姉がホラゲーで叫んでるところ見たことない」などのコメントが流れていると、エメリオはふとテーブルの上に置かれた電源の入っていないiPadが目に入り、左手で拾う。
「なんで廃屋にiPadが落ちてんの? 初期化して自分のに出来ないかな?」
エメリオはそう言うと、パトリシアが「窃盗罪で訴えられるから駄目よ? それに呪いのデータが入っていたらどうするの?」と注意する。
地下室を探索しながら二人の話が聞こえていた唵妙迩は何かを思い出したかのように「ちなみにこのゲームね。怪現象が……」と言いかけたその時……
突然エメリオの持っていたiPadの画面がついてブルースクリーンに『Behind』と表示され、エメリオは「後ろ?」と、パトリシアがいる自身の背後の方に振り替えると「シャアアアア!」と両手を上にあげて自身に襲い掛かる吸血鬼のようなモノが現れ、思わず「ギャアアアア!」と悲鳴を上げた。
「何? 何? どうしたの?」
急な出来事にパトリシアは困惑していると、エメリオは半泣きしながら「パト姉の方からオバケが出てきたぁ! もうヤダ、おうちかえりゅのー」と答える。
唵妙迩は「あははははは!」と笑ってからエメリオにこう言った。
「大丈夫! それただの演出だから、このゲーム所々こういったのあるからね」
そうエメリオに説明すると、エメリオはまだ半泣きのまま「そんなのいらないよー」と答える。
ちなみにチャット欄では「悲鳴助かる」「唵妙迩さんが説明しようとした瞬間に来るとはw」「結構怖いなこのゲーム」などのコメントが流れた。
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