第10話・年上の同期

・エメリオは語る。


 お父さんと【ライブラ】で対戦配信をした動画が投稿されてから数日後、あたしは久しぶりに同期と配信の準備をしていた。


 あたしの同期は二人いる。現役警察官の『パト姉』こと、パトリシア・マークフィーサーと自称・魔祓い師の宋茄(そんな) 唵妙迩(おんみょうじ)だ。


今日はそんな二人と一緒に、ゴーストバスターをするゲーム【ガイストヘイト】を実況することになった。



 エメリオのデスクトップの画面は既にゲーム画面になっており、どこかの家の地下室のような場所に、白のYシャツにジーンズ姿のエメリオのアバターと同じ見た目のキャラと服装の金髪ロングヘアの女性と黒髪天パの男性がおり、エメリオは自身の配信画面の右下にネクタイを緩めて胸元を少しはだけさせた金髪ロングヘアのアメリカンポリスの女性と、

深緑色の陰陽師の装束をまとった黒髪天パの男性の立ち絵を出して「こちら準備できました! そっちはどうですか?」とスカイプ通話でコラボ相手に呼びかけると、女性キャラが屈伸しながら「大丈夫よ! いつでも始められる」と答え、男性キャラは時計回りクルクル回転しながら「こっちも大丈夫だよ。3振りしてくれれば始められる!」と答えたため、エメリオは配信を開始して挨拶から入った。


「どうも皆さんこんばんは! インデックスの16期生! 美少女高校生ライバーの土手川 エメリオだ! 今日はパト姉と唵妙迩さんと3人でホラーゲーム【ガイストヘイト】を実況していくよ!」


 エメリオの挨拶が済み、チャット欄では「ホラゲ実況だ!」「このゲーム面白そうだから楽しみにしてた」などのコメントが出てくる。


そして、どちらが喋っているのかが見てわかるようにするために、喋っている方のアバターが明滅するように設定しており、アメリカンポリスの女性の立ち絵が明滅しながら挨拶を始める。


「はいどうも皆さんおはこんばんにちは! インデックスの法の番人! 『パト姉』ことパトリシア・マークフィーサーです。ここ最近廃墟探索で立ち入り禁止の場所に不法侵入をする人が多いとのことなので、エメリオちゃんと魔祓い師の唵妙迩と一緒に見回りに行くことになりました!」


 パトリシアに続いて、陰陽師の格好をした男性が挨拶を始める。


「はい、おはこんばんにちは! インデックスの魔祓い師! 今宵も悪霊退散! 宋茄 唵妙迩です。今夜もまた悪霊が出たということでこちらの婦警さんと女子高生と一緒に悪霊退散していきます!」


 全員の挨拶が済んで、ミッション選択の壁に掛けられたホワイトボードの前に集まると、エメリオはチームメイトの欄を見てこんなことを口に出す。


「ちょっと待って‥‥‥このゲーム出たのって2週間前だよね? 唵妙迩さんだけレベル・もう100行ってるんだけど、どういうこと!?」


 エメリオの言う通り、表示されているレベルがこの通りになっている。


エメリオ レベル・0 ※今日始めたばかり


パトリシア レベル・1 ※先週に1回だけ配信で遊んだ。


唵妙迩 レベル・100 ※!?


 チャット欄には「唵妙迩さんレベルやば!」「さすがホラゲー好き」「2週間でソロでここまで育てたの?」などのコメントが流れる。


「僕ほら……ホラゲー狂の人たちからコラボの誘いが多かったから!」


 唵妙迩はそう説明すると、パトリシアは思い出したかのようにこう言った。


「そう言えば唵妙迩ってコラボ回数と投稿している動画本数なら私らの中ではダントツで多いよね? 私の場合は本職の関係があるからあれだけど‥‥‥」←仕事の関係でインデックスに所属することになった現職の警察官


 パトリシアにそう言われた唵妙迩は「来週も参歩さんたちとこのゲームやろうかって話が出てる」と言うと、エメリオは「あたしも参加していいですか?」と尋ねると、唵妙迩は「じゃあ、今日はこのゲームの基礎的な立ち回りをやっていこうか」と、ちょっとした新人研修動画へ方針が変わる。


 ここでふと、あることを思い出したパトリシアがエメリオにこんなことを尋ねる。


「そういえばエメリオちゃん、1ヵ月休んでたっていうのもあるかもしれないけど、ホラゲーやったことあった?」


 パトリシアの疑問にエメリオは「お母さんがホラゲー苦手だからフラッシュホラーゲームすらやったことないですね」と答えると、唵妙迩がこう言った。


「ああ、じゃあ‥‥‥このゲームで相当悲鳴上げることになるね。あまりホラゲー得意じゃないモエルさん辺りとやった時、すごい叫んでたから‥‥‥」


次回・エメリオ‥‥‥叫ぶ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る