第15話・殺人ウサギ鬼ごっこ
・エメリオは語る。
今日はインデックスのメンバー10人が集まっての配信をやることになった。
インデックスの先輩たちとだいぶコラボによる交流の回数も増えてきた。今ではコラボ配信がすごく楽しみに感じる。
多分、学校で他人との関りがないせいなのかもしれない。今は通信制の学校に変えているけど、普通の学校に通っていた時は憂鬱で仕方がなかった。
そんな日々からおさらば出来たと考えると今のあたしはとても幸せ者なのかもしれないと思う時がある。
パソコンの画面にどこかの洋館と思われる室内で、エメリオのアバターとそっくりのキャラクターが他のインデックスメンバーと一緒にいた。
3Ⅾスポーツ大会の2人3脚に出場していたニコとアリアはもちろん、今回初めてコラボするメンバーもいる。
ニコ「よーし、始めるよぉ! キラーラビットチェイス! スタートぉ!」
壁にあるスタートのスイッチを押しながらニコはそう言うと、アリアが白兎になってしまった。
「ヤツガレが鬼かぁ! 数えるよ! 1! 2! 3!」
ウサギになってしまったアリアはその場から動かずにカウントダウンを開始すると、全員が蜘蛛の子を散らすように走り出した。
今回やっているゲーム【キラーラビットチェイス】はいわゆる鬼ごっこゲームで、キラーラビットを討伐隊が来るまでプレイヤーは逃げ続け、討伐隊のNPCがキラーラビットを倒せばプレイヤーの勝ち、キラーラビットはプレイヤーを殲滅すれば勝ちとなる。
ちなみに、キラーラビットはプレイヤーを視界内に収めている間だけ、プレイヤーのダッシュ速度より1.5倍のスピードで追いかけることができ、他には個体によって、音でプレイヤーの位置を把握できるレーダーなどが使える。
プレイヤーの場合、足止めや一時的なダッシュ速度強化などのアイテムを持ち込むことができるが、回数が限られており、リキャストがあるため、連続使用はできない。
アリアが「9! 10!」と言って、カウントダウンが終わり、他のプレーヤーを探し始めた頃、ニコは近くにあった客室の扉に挟まって動けなくなっていた。
よりによってそんなところにアリアと出くわし、アリアは「あれぇ? ニコさんそんなところで何してるの?」と悪そうな笑顔を浮かべているような声で尋ね、謎の当たり判定で動けないニコは「待って! 待って! まだ始まって1分も経ってない!」と慌てた様子で慈悲を求めるが、アリアはジリジリとゆっくり距離を詰める。
「アリア君! お願いだから待って! チェイスできてからにして!」
ニコは必死に懇願すると、アリアは「いや、ニコさんにはまだお茶の間に笑いを届ける役目があるからまだ生かしておいてあげるわ!」と言って、踵を返して他のメンバーを探しに回った。
ニコは「おお、許された!」と安心すると、外から扉を開ける人物がおり、拘束が解けたニコはようやく動けるようになる。
「あっ! Halさん、助かりました!」
ニコを助けたのは黒のウエストベストに白のシャツに黒のズボンを穿いた黒髪ポニーテールの男性で、インデックスの9期生であり、ヴァーチャル音楽ユニットである【ヨツボシ楽団】のヴォーカルであるHalで「さっきアリアが中庭に行くの見えたから他の場所行こうか?」と言ってニコと一緒に客室から出た。
一方、中庭ではアリアが大暴れしており、阿鼻叫喚となっていた。プレイヤーの約3名がアリアの餌食となって手持ちのアイテムを残して爆発四散していた。
アリア「わーい! みんな待て待てー!」
そう叫びながらアリアは他のプレイヤーを追いまわし、全員が中庭から屋敷の中へ逃げ込んだ。
「エメリオちゃんも、墓場トークいってらっしゃーい!」
アリアはそう言いながら「ヤバイヤバイヤバイ!」と叫びながら屋敷の廊下を疾走するエメリオの背中を追いかける。
すると、曲がり角からHalとニコが出てきてHalは「やっば!」と言って来た道を引き返し、エメリオはHalと反対方向に逃げるが、Halは逃げようとしないニコに「ニコ君?」と心配そうな声で尋ねるとニコは余裕そうな声でこう言った。
「大丈夫ですよ! 僕はまだお茶の間に笑いを届ける役目があるので後半なるまで殺されない自身があります!」
そう高々と宣言して自身の足元まで来たキラーラビットのアリアに「ねえ、うさちゃん?」と尋ねると、アリアは無言でニコをキルし、ニコはアイテムを残して爆発四散し、それを見たエメリオが「殺されとるやないかい!」と叫ぶ。
アリアはそのままHalを追いかけ始め、玄関ホールに集まっていた生存者たちがアリアに追われているHalをに気づいたひとりが「おいバカこっちくるんじゃねえ!」と叫んで周りにいた他の生存者も悲鳴を上げて逃げ回る。
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