第16話・翻弄される黒兎
アリアがキラーラビットで大暴れしている頃のチャット欄「アリアさん普通にチェイス上手くて草」「ニコさんものの見事にフラグ回収w」「アリアさん殺すタイミング神憑りすぎて草生える」「このゲームで鬼を信用してはいけない」などかなりの盛り上がりを見せていた。
エメリオは玄関ホールにたどり着くが誰もおらず、ゴーンという鐘の音とともに、画面に「討伐隊が到着した!」と表示される。
すると、玄関の扉がバンッと外から開かれ、分厚い鉄板でできた重鎧を纏い、メイスやらバトルアックスと盾を装備した中世の重装歩兵の騎士たちが隊列を組んで、ガシャガシャと音を鳴らしながら屋敷の中に入ってきた。
エメリオは「あれ? この人たちと一緒にいればもう勝ち確じゃない?」と言って騎士たちに混ざって同じ方向へ向かう。
一方、天界ではアリアにキルされたプレイヤーたちが墓場トークをしていた。
ニコ「こう言っちゃなんだけど薄々殺すだろうなぁとは思ってた」
そういうニコに、黒のウエストベストに白のシャツに黒の半ズボンを穿いた亜麻色ショートヘアの女性が「あの子そういうタイミングだけは解っているからね」と答えると、ニコは「あれ? Sinaさんもやられたんですか?」と尋ねる。
ニコに声をかけたのは【ヨツボシ楽団】のキーボード担当のSinaで「うん、中庭の曲がり角で出合い頭にごっつんこされた」と答えた。
そんな話がされている頃、アリアは討伐隊の騎士たちにボコボコにされており、騎士を数人倒すも、多勢に無勢だったようで、メイスで叩き潰されて爆発四散した。
アリアは「シニャッ!」と短い悲鳴を上げ、全員の画面に「人間の勝利!」と表示され、全員がロビーに集まる。
それからも2ゲームほどやって最終ゲーム‥‥‥エメリオが鬼をやることになった。アリアは白兎だったが、エメリオは黒兎で能力も白兎とは異なる。
マップは屋敷で、カウントダウンが終わってエメリオは「レッツゴー!」と意気込んで走り出す。
そして開幕早々に個体特有のスキルを使用した。
「あたしのうさちゃんの能力は‥‥‥分身の術!」
エメリオがそう言うと同時に、黒兎が6匹に分身して蜘蛛の子を散らすように走り出した。
すると、分身した兎の近くにいたプレイヤーが壁越しでも見えるほどに強調表示され、あまり距離も離れていなかったこともあり、エメリオは「みーつけた!」と言って、そちらの方向へ向かった。
索敵にかかったのはHalで廊下でエメリオを見るなり「ヤバイ! 見つかった!」と叫んで導火線に火のついた爆弾のようなモノを地面に投げつけて起爆した。
ボフン! と音を立てて視界を奪われるほどの白い煙が辺りに充満し、エメリオは「真っ白!」と驚いていると、Halはその場から逃げおおせ、Sinaと合流する。
「Sina! そっちにいるからこっちに逃げた方がいい!」
Halはそう言ってSinaと一緒にエメリオがいる場所と反対方向へと走っていき、煙が晴れたエメリオは「Halさんスモーク爆弾使うのか! ならリキャストしているうちに倒さないと!」と言って追いかけるも、バチンッという音ともにエメリオの操作する黒兎がトラバサミに引っかかった。
エメリオは「にゃあああ! トラバサミまでぇ!」と驚きながらガチャガチャとレバガチャし、拘束から逃れる。
「もう許さない! 誰だあんないやらしい場所にトラバサミ仕掛けたのは!」
スモーク爆弾にトラバサミの連続妨害コンボを受けて早くもお冠なエメリオはそう憤って分身を出して索敵をしながら走り回る。
そして、キルボタンを連打しながら廊下を走っていると、誰もいないはずなのにいきなり目の前でアイテムを残して爆発四散が起こり「うわぁ! 嘘!?」とニコでもHalでもない男性の驚きの声が聞こえた。
思わぬ出来事に「あれ? 誰かそこにいた?」とエメリオは驚きながらログを見ると、クロというプレイヤーをキルしたことが表示されていた。
「クロさん!? もしかしてレジェンダリーアイテムの透明マント持ってた?」
エメリオはそう言いながら廊下を走っていると、中庭の出入り口でニコと鉢会い、通り魔キルを決める。
ニコが「ああっす!」と短い悲鳴を上げて爆発四散し、ログの方に分身した兎がプレイヤーをキルした表示が4つも流れ「待って! 分身攻撃強すぎない?」と驚くが「討伐隊が到着した!」と表示が出る。
それを見たエメリオは「これさ‥‥‥分身攻撃使えばあいつら倒せるんじゃない?」と言って、あえて討伐隊に挑むことにした。
その結果‥‥‥分身の兎は本体より体力がないため、ワンパンで倒されるため、速攻で袋叩きにされた。
「意外といけるかなって思ったらそうでもなかったや」
エメリオはそう言って全員がロビーに集合し、終わりの挨拶を済ませて解散後、エメリオは最後に「じゃあ、あたしはライブラの練習行ってくるわ! 来週ついにインデックス杯があるからね」と言って動画を締めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます