最終話・Vでもやっぱり家族は……
脱落したエメリオはそのまま実況席の方へ行くことになり、2Ⅾアバターのエメリオが実況席に着く。
参歩「乱ちゃん強かっただろ?」
エメリオ「間合いの取り方が凄く上手かった! フェンリー対策でおばあちゃんから教わったロブからのノック攻撃で反撃しようとしてもすぐに詰められて封じられちゃう」
参歩「接近戦でも確実にカウンターを取れるようになるのが今後の課題になるな。インデックス杯はライブラの勉強をするリスナーからしてみればここからが見どころだ」
実況席でそんなやり取りをしているとチャット欄では「それでも初見で乱姐さんから先手取れたのは凄い」「次回のライブラ杯でどれほど成長するのか楽しみ!」などのコメントが流れる。
そのまま3試合ほど経って、お昼休憩に入って配信を切った時のこと‥‥‥リーシャとエメリオが先に離席して、参歩も離席しようとした時「参歩君、ちょっといいかな?」とマリアに呼び止められた。
マリア「再婚してからはどうだい?」
参歩「なんだかんだで半年経ちましたからね。普通の家庭を築けなかったこともあってまだ父親らしいことができてる自信がないです」
マリア「君はよくやっている方だよ。所帯持つことになったメンバーたちからも、君とリーシャの離婚の原因を聞いた時の反応はみんな揃って「君らの仲を裂いたヤツが許せない」と言っていたからね」
参歩「インデックスで所帯持ちっていうと‥‥‥クロ君もだいぶすごいような‥‥‥」
マリア「彼は本当にすごい人生送ってるからね? 癌が見つかった時なんて心まで病んでいたらしいじゃないか!」
参歩「それでも闘病生活を支えてくれた今の奥さんがいたおかげで復帰できましたからね」
その後も、マリアと土手川家の3人は実況席でライブラ・インデックス杯の実況をお届けした。
Bブロック代表で勝ち進んだニコとCブロックの代表となった乱との試合ではお互いフェンリーを使うという事態が発生する。
しかし、実力の差は歴然‥‥‥ニコの操作する赤の2Pカラーのフェンリーを乱の操作するフェンリーがボコボコにしていた。
「乱さん凄い! ジャスト回避をさせないために連撃のパターンを変えてる!」
エメリオが実況席で驚いていると参歩が「翔狼拳からの牙狼斬鉄掌のように、フェンリーの連撃パターンは様々だ。技巧派が使うキャラである以上、覚えることも沢山ある」と、フェンリー使いとしての意見を述べる。
「お父さんもフェンリーの扱い上手いよね? 今度フェンリーの使い方教えて!」
唐突なエメリオの申し出に参歩は「そうだな・・・・・・まずはジャスト回避から覚えることだ。フェンリーの一番の強みはジャスト回避からのカウンターだ」と言ってフェンリーの使い方と立ち回りを教えることを確約した。
チャット欄「次回は一家相伝の技を引き継いだエメリオちゃんが来るな」「参歩さんメッチャ父親してる!」
すると、『トモエ・神楽』という人物から赤スパが投げられ、そのメッセージが「参歩! エメリオにフェンリー教えるんだったらウチでやりなさい!」で、それを見た土手川家は驚きの声を上げた。
エメリオ「ちょっと待って! おばあちゃんから赤スパ飛んできたんだけど!」
参歩「ホントだw じゃあ試合観てたんだ!」
リーシャ「お義母様! エメリオはベストを尽くしましたよ!」
チャット欄「おばあちゃん登場w」「待って! 先週辺りに同じプレイヤーネームの人にライブラでボコられたことあるんだけど!」「土手川家凄い意味でヤベェ!」
後日、SNSでマリアは「にしても土手川家の家族の絆は素晴らしいね。一度壊れた関係でも、家族として立ち直れたのは、エメリオちゃん自身の思いと、参歩君とリーシャさんのふたりの思いがひとつになったからなのかもしれない。これからの土手川家の活躍には期待しちゃうね!」とコメントした。
バーチャルになっても家族の絆で繋がっている土手川家は、ファミリーパワーでこれからも更なる高みへ上がっていくのだろう。
そして、これからいろんなことに悩むことであろうことを、エメリオは後に知ることになるのだが、それは少し先のお話‥‥‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます