罪と罰と赦し、そして未知への探究と冒険

物語は二人の人物の視点でつづられます。
子を成せない異なる種族の夫婦の子として「生まれた」、奇跡の子カモミール。
彼女を創り出した研究者、魔術師ペルクス。
生命の創造という禁忌を犯したとして流刑となった彼女たちを中心に、未知の世界を冒険していく。

愛の奇跡によって生まれた聖女として優しさと赦しを発揮しようとするカモミールと、研究者として科学的見地と好奇心で世界をとらえるペルクスという異なる視点がひとつの魅力。
異端や禁忌といったフックからスタートするこの物語は、必然、罪と罰へのとらえ方、扱い方といった命題をかかえることになります。
優しさを発揮することは簡単ではなく、それぞれに立場や考え方の違う人々とどう接し、どう折り合いをつけていくか、とても難しく現実においても安易に答えが出るものではないこの命題を、しかしカモミールたちは逃げずに挑み続けます。
誰かが一方的に悪いわけではなく、それぞれの信念や背景がある中で、誰が正しいと考えることは読者という引いた立場にいても難しいものです。
それでも物語は、きちんと前進し、大団円に向かって動いていきます。

完結からずいぶんと間が空いてから読み終えた私ですが、そんなペースでも読み終えてよかったと思います。
番外編もあるようなので、そちらも楽しみたいと思います。

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