禁忌の研究で流刑地へ。愛と奇跡の娘は聖女となる。

 魔術師ペルクスは、獣人と妖精の夫婦から「自分達の子供が欲しい」という依頼を受け、長年の研究の末に、彼は二人の娘カモミールを生み出すことに成功します。しかし、生命の創造は禁忌とされており、ペルクスとカモミールは魔界へ追放されてしまいます。

 この物語は、カモミールとペルクスの2つの視点で語られています。カモミールは無垢で可愛らしい少女ですが、どんな困難にも立ち向かう勇気と人を愛する心持っています。対して、ペルクスは、冷静で探求心旺盛な魔術師ですが、カモミールを守るために奮闘します。
 彼らが魔界で出会った様々な種族や文化を持つ人々は、友好的な者もいれば、敵対的な者もいて、それぞれの場面でスリリングな展開があります。

 ”罪と幸せ”という深いテーマは興味深く、クライマックスでは哲学的な問答もあり、圧巻の表現力でラストへ読者を引き込む力作です。

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