SFだからこそ見える光景があるのです

 ひとこと紹介の一文が、読んでいて思い浮かぶ事でした。

 未知の惑星だからこそ想像力が働く余地が大いにあり、それをよく刺激されます。

 真っ青な空の下、水平線まで見える海に浮かぶ宇宙船とイカダ…未知の惑星を調査するという設定が、私には容易な任務ではないと感じるからこそ、グルメというテーマを持つ本作に、こういうのんびりした情景を思い浮かべてしまうのかも知れません。

 そんなのんびりした情景に、人間の営みには時代や場所が変わっても、目まぐるしい変化はないと思わされる、食というテーマは、実によく合う気がします。

 現実でも、イカダで釣り糸を垂れて釣ったアジで、こういう料理ができる気がして、またアジというおいしさが想像できる題材を使っているからこそ、「これは美味しい」というイメージを容易に浮かべられました。

 この物語のジャンルはSFです。

 SFだからこそ、表現できる情景、美食を描けるのだと感じさせられる傑作です。