高高度の激闘に血沸き肉踊る圧巻のハイファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
序盤の鮮烈な印象そのままに壮大なストーリーな語り継がれます。ひとつの世界観に留まらない圧倒的で精緻な宇宙観。そこを縦横無尽に疾駆する登場人物も多彩にして、表情も豊かに、苦悩し、決意し、魂の矛を交えます。
作者は、表現上の難易度が高い空中戦を得意として、狂おしい激闘を描き込みます。障害物の少ない高高度の状況。しかし、心理描写も巧みで、誰もが愛おしく、読む者を魅了し、鷲掴みにします。
大きな特徴は、徹底してクールでソリッドな文体、語り口調です。大御所系のハードSFの愛好者や、文豪系の純文学マニアを唸らせる程の清く正しく、法悦の境地に誘う表現が鏤められ、特異なミクロコスモスが形成されます。
難解という意味ではありません。それはダイヤモンドのように硬質で輝かしく、揺るがないものなのです。研ぎ澄まされた刃、魅惑の妖刀とも言い換えられましょう。
激闘の先に、如何なる未来と運命が待ち受けているのか…
更に物語は紡がれ、仕掛けを織り込んで編まれます。同時に、ラストで私たちが途轍もなく美しいアラベスク模様を眼にすることは既に約束されています。