幻の種族を求める心の奥底で輝くものが、進むべき確かな道を切り拓いていく

本作は、3人の若者が『水の蜂』という水の恵みをもたらす絶滅種を求めて砂漠の国を旅する物語です。

街やダンジョンの探索に、バトルに、『水の蜂』をめぐる謎、そして友情。
安定感あるファンタジー描写が、読む人を自然に冒険の旅へと連れ出してくれます。
街から街へと流れては、新たな人々と出会って情報を得て、事件が起きれば解決に当たる。まるで古き良きRPGのようなワクワク感を味わうことができます。

何よりもの見どころは、メインの3人の生き様です。
『水の蜂』の学者であるチャッタ、珍しい炎の力を使うアルガン、そして『水の蜂』の生き残りであるらしいムル。
生まれも育ちも違う3人は、それぞれに傷や迷いを抱えています。そこに加えて謎のもふもふ・ニョンが、癒しを与えてくれます。
初めのうちはどことなく足並みの揃わなかった彼らが、心を通じ合わせ、与えられた運命を乗り越え、真に大切なものを見出していく流れが非常に熱い。

3人の信念が収束するように、『水の蜂』を、世界を救う展開へと向かうクライマックスは圧巻です。
希望あふれるラストシーンが、あたたかな感動の余韻を残します。
幅広い読者の方が楽しめる物語だと思います。面白かったです!

その他のおすすめレビュー

陽澄すずめさんの他のおすすめレビュー2,175