第9話 フム、シベリア送りだ

移動だけで彼の強さが理解できる。

地面が凹まないように滑るように移動し、重心は常に機体の中心に。軸すら崩れない。

それでいて速度を出すのだからもう強すぎる。

実戦帰りでもここまでの人は居ないだろ。


「嬢ちゃん、そろそろだぜ?」


そう言われて警戒を強める。

そして、突然曲がり角から機体が飛んで来た。

機体装甲がビルに突き刺さりガラスが機体の肩に降りかかる。

その機体ナンバーは01。隊長機だ。

外部スピーカーから声が聞こえる。


「こちらクロム隊隊長のクロム1。とりあえず援護を求ム」


「それは無いなぁアリスたん」


「ッ!貴様か…まあ良い。少し手伝って貰おう。丁度来た事だしな」


え?知り合い?アリスたん?

っと…そうだった。もう来てたんだった。

コキュートスが姿を現す。


「新しい敵か。まあ良い。どれだけ居ようと俺が…」


「うるさいゴミ虫だなぁ」


主任がそう言いグレネードを放つ。

直撃を避けたコキュートスに弾丸の雨が放たれる。HE弾と思われる弾丸が着弾と爆発を繰り返す。


「ッ!貴様…」


「さっさと終わらせたいんだ。こうゆう戦いはキライでね。まあ、やるんなら本気でやろうか!そっちのほうが楽しいだろ!?ハハハッ!」


名言頂きました。

まさか生で聴けるとは…

主任はACを知ってるのだろうか?

主任がブレードを展開して銃撃で接近し、コキュートスの斧を回避して蹴り。背後に回る。

その一連に迷いは無い。もうこの戦場は彼の手のひらなのだろう。全てがお見通しって感じだ。

俺も支援する。

彼は支援しやすい立ち回りをしている。期待とゆうより、邪魔にならないように動ける余裕だ。

支援も相まってコキュートスが傷付き、片腕が落とされる。


「グゥ!俺が…この俺が人間なんかに負けるカァ!!」


「まったく…面倒だなぁ」


彼は楽しいとゆうより飽きたとゆう雰囲気だ。

思い通り過ぎるのだろう。一ミリも彼が予想した線路から外れない。狭く、窮屈な戦闘。

それは俺も感じている。予想外な動きをしない彼に失望していた。

魔法少女に強くなって勝ってきた敵が強くなった魔法少女にやられる寸前にまた強くなるなんてのはよくある話だ。その通りにやるのだから正直飽きた。普通なら覚醒した事に驚くのが天ぷらなんだろうけど、予想通りの展開に驚く理由が無い。

そんな予想通り過ぎる展開に飽きた俺達はを止めた。

更に鋭くなった主任に機体に俺も接近戦で傷を付け、焦らせる。


「ハハハッ!良いねぇ!合わして来るとはやるじゃないか嬢ちゃん!」


主任が更に鋭くなった。

俺が今度は付いていくようになった。しかし、それも短時間だった。

慣れた俺がまた主任に合わせるのだ。

もっと…もっと先を…

しかし、的は耐えられず。膝を突いた。


「ヒュ~♪楽しかったよマリりん」


「こっちも久し振りに楽しかったです。次は楽しませて貰いますよ」


「おお、コワイコワイ。じゃ、またね~」


主任はそう言い去っていく。

俺もコキュートスを浮かばせ去っていく。

そして残されたアリスはその場に残されるのでした。

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